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歯学部受験 入試情報
メリオン独自のリサーチに基づく歯学部入試に関する情報を大学・科目・入試別にそれぞれご案内しています。
歯学部受験 入試情報
1.そもそも、なぜ歯学部なのか?
日本国内で歯科医師として活動しようとすると、法律上どうしても歯科医師免許が必要になります。
歯科医師免許を取得するためには、国(厚生労働省)が行う歯科医師国家試験を受験し、合格することが必要です。
なお、歯科医師免許取得後は基本的に1年以上臨床研修を受けます。
臨床研修の病院も大学付属病院が多くなります。
このように、歯科医師として活躍するためには、歯科医師国家試験に合格しなければなりません。
歯科医師国家試験を受験するためには、原則として大学の歯学部歯学科で6年間学び、歯学部を卒業、または卒業見込みとなることが欠かせません。
歯学部歯学科を、卒業または卒業見込みで歯科医師国家試験の受験資格が与えられます。
最近の歯科医療、歯科医学の多様化・細分化に伴って、歯学部にも歯科衛生士や歯科技工士を養成する口腔保健学科など、歯学科とは別の学科を設置する大学も増えてきました。
しかし、歯科医師国家試験を受けるためには、歯学部歯学科を卒業することが必要です。
ちなみに、口腔保健学科などの学科は4年制ですが、歯学科は6年制になります。
歯学部歯学科(以下、歯学部とします)での6年間では、歯周病学、補綴学、歯科矯正学といった歯科医師に必要な知識や技術を学びますが、単に歯や口の中のことを学ぶだけではありません。
社会人、医療人としての教養や心構えに加え、全身との関連が重視されますので全身についても学びます。
歯や口は、人間にとって食べ物を摂取する入口であり、生命維持に欠かせない器官です。
人間が最後まで豊かな人生を送るためには「自分の口で食べる」ことが欠かせません。
また、話す・笑うといった人間らしい生活を送るための大切な器官でもあります。
歯科医師は、この人間にとって非常に大切な口や歯を守る、やりがいのある職業です。
2.歯学部受験の現状
①全国の歯学部
現在、歯学部は国立大学11校、公立大学1校、私立大学15校に設置されています。
このうち、日本大学と日本歯科大学は歯学部(生命歯学部)をそれぞれ2つ持っていますので私立歯学部は17あることになります。
国立大学、公立大学、私立大学の歯学部を合わせると日本には全部で29の歯学部があることになります。
医学部医学科は、国立大学に43校、公立大学8校、私立大学31校に加え防衛医科大学校もありますので、全国82の医学部となります。
歯学部は全国に29、医学部は全国に82ですので、歯学部を設置する大学は多くなく、実際の受験校選択の幅も広くないことが分かります。
②歯学部受験の難易度
前述のように、歯学部は、国立大学に11、公立大学に1,私立大学に17ありますが、歯学部受験の難易度は、国公立大学と私立大学では差があります。
国公立歯学部各校の難易度は多少の差はありますが、それほど大きな差ではありません。
一方、私立歯学部の難易度は大学により差があります。
河合塾の歯学部偏差値ランキングによれば、国公立歯学部前期で最も難易度が高いとされているのは、東京医科歯科大学歯学部のボーダーライン偏差値62.5です。
大阪大学歯学部のボーダーライン偏差値60.0が、それに続きます。
医学部と比べると、医学部の難易度ランキング下位グループと歯学部の難易度ランキング上位グループが同じくらいの難易度となっています。
とはいえ、医学部に続く難易度ですから簡単ではありません。
また、国公立歯学部12校のうち、後期日程を行うのは国立歯学部7校のみとなります。
前期日程に比べると募集人員も非常に少なくなり難易度も上がります。
国公立歯学部受験は「前期一発勝負」と考えてもよいと思います。
なお、国公立歯学部後期には、本来医学部を志望していた受験生も出願してくることも難易度が上がる要因の一つです。
私立歯学部の難易度に目を向けると、河合塾の私立歯学部偏差値ランキングで最もボーダーライン偏差値が高いとされているのは、東京歯科大学の偏差値57.5です。
昭和大学歯学部が偏差値52.5、日本歯科大学生命歯学部と大阪歯科大学が偏差値50.0で続きます。
河合塾の私立歯学部の難易度ランキングを見ると、ボーダーライン偏差値が偏差値30台とされている歯学部がいくつかあります。
また、ボーダーラインが設定できない「ボーダーフリー」とされた歯学部もあります。
このように私立歯学部の難易度は大学によって、差があります。
ただ、これらの私立歯学部偏差値ランキングはいずれも一般選抜前期・Ⅰ期の難易度になります。
私立歯学部受験では、学校推薦型選抜(推薦入試)、総合型選抜(AO入試)で歯学部進学を決める受験生が多く、一般選抜を受ける受験生は推薦・AOで合格出来なかった受験生が多い、という現実もあります。
一般選抜前期の偏差値を見て、「私立歯学部は簡単」と思っていると足をすくわれるかもしれませんので注意してください。
また、私立歯学部受験には一般選抜後期・Ⅱ期もありますが、難易度は上がると考えてください。
募集人員が少なくなるうえに、医学部志望者が併願先として歯学部後期・Ⅱ期に出願してきます。
歯学部受験は、まず推薦・AOの受験を考え、一般選抜を受けるなら前期・Ⅰ期で決めるように考えてください。
3.歯学部人気が高まらないわけ
歯学部の人気は、2000年台初頭に比べ、高くはありません。
志願者数を見ると2005年がピークとなっています。
これは、なんといっても「歯科医師は儲からない」という意識が社会全体に広がったことが最大の原因です。
当時、「歯科医師は過剰で将来性は無い」「歯科クリニックはコンビニより多い」などと盛んに言われました。
こういった世の中の認識から、歯科医の子弟以外は歯学部を受けなくなりました。
歯科医師も、子供に積極的に継がせようとはしなくなりました。
こういったことから歯学部人気は以前に比べると下がりましたが、現在では国公立歯学部、私立歯学部ともに志願者数は下げ止まりを見せています。
今後、急激な志願者数の上昇は無いかもしれませんが、徐々に上昇する可能性は十分にあると思われます。
一つには政府が「国民皆歯科検診」を打ち出したことがあります。
「全身の健康を保つためにも、口の健康は欠かせない」と政府が打ち出したことで歯科医療の大切さが、国民全体に再認識されると考えられます。
また、歯科検診の結果、患者数が増えることや歯科が身近な存在になることも考えられます。
さらに、歯科医療は「訪問歯科診療」「矯正歯科」「審美歯科」「インプラント」などの分野が広がっていくことが予想されています。
こういったことから歯科医師の魅力が再認識され歯学部受験を考える受験生が多くなることは十分に考えられます。
4.国公立歯学部と私立歯学部の違い
同じ歯学部といっても、国公立と私立とでは大きな違いがあります。
まず、学費の違いが浮かぶと思います。
私立歯学部で最も学費が高額な大学は東京歯科大学で、6年間の学費総額は3,190万円になります。
東京歯科大学の他に、6年間の学費が3,000万円を超える私立歯学部は5校あります。
私立歯学部で6年間の学費負担が最も低いのは、明海大学歯学部と朝日大学歯学部の1,880万円ですが、それでも国公立大学歯学部とは差があります。
歯学部受験を考えると「共通テスト」が必要かで大きな違いがあります。
国公立歯学部受験では、一般選抜はもちろん学校推薦型選抜や総合型選抜でも共通テストの受験が原則的に必要です。
共通テストでは英語、数学、理科の他に国語と地歴公民も必要になります。
国公立歯学部受験では、国語と地歴公民もやらないわけにはいきません。
一方、私立歯学部受験では「共通テスト利用入試」を除けば共通テストの受験は必要ありません。
また、私立歯学部の共通テスト利用入試では国語や地歴公民は、選択科目に入っている大学もありますが、選択科目であって必須とはなっていません。
共通テスト利用入試を受験するにしても、国語と地歴公民を勉強しなければならないわけではありません。
また、試験問題そのものの難易度にも違いがあります。
国公立歯学部2次試験の問題は、手強い問題ばかりになります。
そのかわり試験時間も長く取られます。
一方、私立歯学部の入試問題は基本的な問題が多くなります。
問題そのものは難しくありませんが、その分試験時間は短くなります。
国公立歯学部と私立歯学部では受験勉強でやるべきことが全く異なります。
歯学部受験を考えるのなら「自分はどこまでやればいいのか」を考えた勉強を進めてください。
5.歯学部受験には、学校推薦型選抜や総合型選抜もあります。
歯学部受験は、何も一般選抜だけではありません。
一般選抜の他に学校推薦型選抜(推薦入試)や総合型選抜(AO入試)もあります。
一般選抜を受けるつもりで受験勉強を進める必要がありますが、一般選抜の前にチャンスがあれば積極的に考えていいでしょう。
学校推薦型選抜も総合型選抜も「受験資格」が定められています。
受験資格を満たす受験生しか受けられない歯学部入試です。
自分が受験資格を満たしているのならチャレンジしていいと思います。
ただし、歯学部の推薦・AOは他学部とは異なるところがありますので注意してください。
歯学部受験では推薦・AOであっても、「入学後の授業についていける能力があるか」を試されます。
高校での活動は、ほとんど重視されません。
「何も誇れることが無いから歯学部の推薦・AOは受けない」と考える受験生もいるようですが、「誇れること」はあればあったでいいのですが、「絶対に必要」ということはありません。
卒業後に歯科医師国家試験が控えていますので、「歯科医学を学ぶ能力」こそが、重視されます。
しっかりとした準備があれば誰でも合格する可能性は十分にあります。
英語の傾向と対策
歯学部受験での最重要教科は英語です。
数学も重要教科ではありますが、数学は計算間違いや勘違いなどで実力通りの得点とならないことがあります。
しかし、英語には計算間違いも勘違いもありません。
いつも、実力通りの結果が出るのが英語です。
英語が得意であれば、いつも高得点が狙えます。
英語が苦手であれば、「まぐれで高得点」ということは望めません。
また、歯学部受験で「数学無し」はあっても「英語無し」はありません。
歯学部受験では、英語が最重要教科になります。
歯学部受験の英語では長文問題が大きなポイントとなりますが、長文問題を解くためには、単語や熟語の語彙力が欠かせません。
英語学習で最も基本となる「単語・熟語」をしっかり強化してください。
数学の傾向と対策
理系学部である歯学部志望者の中には、数学を得意とする受験生が多くいます。
数学が得意なのはよいのですが、勉強が「数学ばかり」にならないように気を付けてください。
数学が得意であればあるほど、難しい問題をやりたくなります。
しかし、実際の歯学部受験の数学では、「易しめの問題を早く確実に解く」ことが重要になります。
「易しめの問題を早く正確に解く」ための勉強を忘れないでください。
化学の傾向と対策
高校で学ぶ化学は、「理論化学」「有機化学」「無機化学」の3つの分野に分かれています。
受験生は理論化学に気を取られがちですが、有機化学、無機化学も手を抜くわけにはいきません。
現役生は理科を後回しにする傾向があります。
特に有機化学、無機化学は仕上がりが遅れがちです。
「理論・有機・無機」のバランスを考えた勉強とコンスタントな勉強を心掛けてください。
生物の傾向と対策
歯学部入学後の勉強で、最も活用されるのが生物です。
歯学部受験で学んだ生物は歯学部入学後も役に立ちます。
歯学部の先取り学習をしているつもりで頑張ってください。
生物は化学や物理に比べると「覚えること」が多くなります。
しかし、「覚えればよい」というものでもありません。
歯学部受験の生物では、知識を使って解く実験考察問題も出題されます。
歯学部受験の生物では計算問題や実験考察問題に多く触れて、こういった「覚えるだけでは解けない問題」への対応力も磨いてください。
生物の勉強では図説を使うことで理解が進みますので、図説もよく見るようにしてください。
物理の傾向と対策
物理は、確かに生物や化学に比べると「覚えなければならないこと」は多くはありません。
その分、知識を使いこなすことが重要になります。
物理では、知っているだけでなく使えることが欠かせません。
「使える」ようにするためには、多くの問題に触れることが重要です。
問題を解くことで、「どんな場面で、どう使うか」が分かり、そのことが深い理解に繋がります。
また、物理では「図を書く」ことも欠かせません。
日頃から図を書いて考えることを積み重ねてください。
国語の傾向と対策
歯学部受験で国語が必要になるのは、国公立歯学部も私立歯学部も基本的に共通テストだけです。
そうであるなら、歯学部受験の国語は、「国語の対策、準備」ではなく「共通テストの国語対策、準備」になります。
大学入試の国語と共通テストの国語は別物だと考えて「共通テストの国語で良い点数を取る」ことに絞って勉強を進めてください。
また、現代文だけでなく古文・漢文もあることを忘れないでください。
なお、私立歯学部受験で数学に替えて国語を選択することを考えている場合は、志望校の過去問を使って準備を進めてください。
社会の傾向と対策
歯学部受験で地歴公民が必要になるのは国語同様、共通テストの受験時だけです。
記述式の問題はなく全てマーク式の問題になります。
歯学部受験の地歴公民では日本史B、世界史Bなどの4単位科目しか選択できない大学と、倫理、現代社会などの2単位科目も選択できる大学があります。
地歴公民の4単位科目に比べれば2単位科目の方が負担は小さくなります。
どの科目を選択するのかを考える際には、志望校の条件を確認してください。
私立歯学部の共通テスト利用入試では、地歴公民は選択科目の1つですので、あえて地歴公民の勉強をする必要はありません。
面接の傾向と対策
他学部には無い、歯学部受験の特徴として「面接が課される」ということがあります。
面接が課されないこともありますが、準備をしておかないと受験校が狭まります。
時間を掛ける必要はありませんが、一定程度の準備はしておいた方がいいでしょう。
歯学部の面接では、学力試験の成績にかかわらず不合格とされることがあります。
ですから、「学力試験以上に大切」ともいえます。
入学試験は、自校の歯学部生として相応しい受験生を選抜するために行います。
歯学部面接の面接官は、総合大学であっても歯学部教員が行います。
他学部の教員は、歯学部面接には出てきません。
歯学部の教員が「この受験生は、うちの歯学部生として相応しくない」と判断すれば、不合格とします。
入試要項にはっきりと書いている大学も少なくありません。
歯学部の面接では、「歯学部の教員からはどう見えているか」を意識してください。
出来れば、歯学部受験に詳しい人に面接対策をお願いするといいでしょう。
小論文の傾向と対策
他学部には無い、歯学部受験の特徴として「小論文が課される」ということがあります。
小論文が課されないこともありますが、準備をしておかないと受験校が狭まります。
時間を掛ける必要はありませんが、一定程度の準備はしておいた方がいいでしょう。
歯学部の小論文で何より大切なことは「試験時間内に指定字数は、きっちり書く」ことです。
小論文で、例えば「600字以上800字以内」と字数が指定されていた場合、600字に満たないと「採点対象外」とされてしまう恐れがあります。
800字を超えてしまった場合も同様です。
内容以前に、「指定された字数を書く」ことが欠かせません。
歯学部の小論文対策の第一歩は「指定字数を書き切る」ことです。
それには、「慣れ」が大切です。
様々な小論文に触れ、小論文を書き慣れることが大切です。
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