2025年度医学部入試の最終版「医学部の偏差値ランキング」

 

12月に入り、2025年度医学部入試に向けての「医学部の偏差値ランキング」の最終版が駿台予備学校、ベネッセ、河合塾から発表されましたので一つの表にまとめました。
医学部の偏差値ランキングは、模試の志望動向によって何回か修正されてきましたが、今回が2025年度一般選抜に向けての最終版になります。

 

 

1.ボーダーラインの考え方は発表する予備校などによって異なる

 

私立医学部の受験校を考える際に受験生の皆さんは、「医学部の偏差値」は必ず見ると思います。この「医学部の偏差値」は、ボーダーラインの偏差値を指しますが、ボーダーラインの考え方は発表する予備校などによって異なります。

 

駿台予備学校とベネッセの「医学部の偏差値」は、合格可能性60％の偏差値ですが、河合塾の「医学部の偏差値」は、合格の可能性50％の偏差値です。また、駿台予備学校とベネッセの「医学部の偏差値ランキング」は、偏差値1刻みで表されています。偏差値60の一つ上は偏差値61です。

これに対して河合塾の「医学部の偏差値ランキング」は、偏差値2.5刻みで表されていて、偏差値60の一つ上は偏差値62.5になります。受験生の皆さんは、「医学部の偏差値は1刻みで見たい」と思うでしょうが、河合塾は「医学部の偏差値ランキングは、偏差値を1刻みで表すほど厳密ではない」と考えているようです。

 

 

2.医学部の偏差値ランキング

 

駿台予備学校、ベネッセ、河合塾それぞれの「医学部の偏差値ランキング」をまとめて表にしました。これを見ると、3つの医学部の偏差値ランキングは同じではないことが分かります。

私立医学部で一番難しい大学は、3つの偏差値ランキングすべてが「慶應義塾大学医学部」としていて、この点は同じです。慶応義塾大学医学部の次に難しい医学部については、駿台予備学校は「東京慈恵会医科大学」、としていますが、ベネッセは「東京慈恵会医科大学と自治医科大学」とし、河合塾は「東京慈恵会医科大学、日本医科大学、順天堂大学医学部、そして関西医科大学」の4校の医学部を「私立医学部で2番目に難しい大学」としています。

ちなみに駿台予備学校では関西医科大学の偏差値を東京慈恵会医科大学より、5低くしています。2.5刻みにしても2段階下としています。東京慈恵会医科大学と関西医科大学、自治医科大学の偏差値を3つの医学部偏差値ランキングではどうなっているでしょうか？

 

 

駿台予備学校は、「東京慈恵会医科大学がダントツで難しい」としていますが、ベネッセは「東京慈恵会医科大学と自治医科大学の難易度は同じで、関西医科大学の難易度は2校より下」としています。河合塾は「東京慈恵会医科大学と関西医科大学の難易度は同じで、自治医科大学の難易度は2校のワンランク下」としています。

 

 

3.2025年度入試　私立医学部の偏差値ランキング　最終版

 

3つの「医学部の偏差値ランキング」から、東京慈恵会医科大学が慶應義塾大学医学部に次いで難しいのは分かります。しかし、関西医科大学と自治医科大学の難易度は、はっきりしません。医学部受験に備える受験生の皆さんは、戸惑うことでしょう。

 

このように、駿台予備学校、ベネッセ、河合塾の医学部の偏差値ランキングには、違いがあります。どれが正しいとは言えませんので、受験生の皆さんはどれか一つの偏差値ランキングだけを見るのではなく、複数の偏差値ランキングを見て自分なりに判断することをおススメします。

 

なお、私立医学部で一番易しい大学については、3つの医学部の偏差値ランキングすべてが「川崎医科大学」、としています。川崎医科大学は学費が私立医学部で最も高いこと、試験会場が岡山県倉敷市の川崎医科大学キャンパス1か所にしか設けられていないことから、受験生にとっては「受けにくい医学部」となっています。

 

2025年度入試　私立医学部の偏差値ランキング　最終版

 

では、医学部の偏差値ランキングをもう少し詳しく見て行きましょう。

まず、医学部の偏差値全体を見て、「ベネッセの偏差値の数値は高く、駿台予備学校の偏差値の数値は低い」と感じるでしょう。
これは、それぞれの全国模試の受験者層の違いからです。ベネッセ進研模試の受験者のほとんどは現役生になります。駿台全国模試の受験者は浪人も多く、全体の受験者層は成績上位層が厚くなります。

こういったことから、偏差値の数値に違いが出てきます。

 

 

4.私立医学部の大学別偏差値

 

ここから、私立医学部の偏差値を大学別に見て行きましょう。
日本大学医学部と愛知医科大学では、どちらの偏差値が高い（どちらの大学が難しい）と思いますか？
こうなります。

 

駿台予備学校は「日大と愛知医科は、同じ」としていますがベネッセは「愛知医科大学の方が難しい」とし、河合塾は「日大医学部の方が難しい」としています。
3つの医学部偏差値ランキングがバラバラで、どれを信じたらいいのか分からなくなります。

では、東海大学医学部と兵庫医科大学の難易度はどうでしょう？

 

駿台予備学校は、「兵庫医科大学の方が難しい」とし、ベネッセは「東海大学医学部と兵庫医科大学の難易度は同じ」とし、河合塾は「東海大学医学部の方が難しい」としています。
ここでも3者3様です。

この2校に愛知医科大学を加えてみましょう。

駿台予備学校は「兵庫医科大学が一番難しい」とし、ベネッセは「愛知医科大学が一番難しい」とし、河合塾は「東海大学医学部が一番難しい」としています。
「東海大学医学部と兵庫医科大学と愛知医科大学で、どの大学が難しいの？」と、私立医学部受験を考えている受験生の皆さんは混乱するでしょう。

東海大学医学部と岩手医科大学医学部、聖マリアンナ医科大学の３つの医学部の入試難易度（偏差値）は、どの大学が一番高いと思いますか？

3校の医学部を表にすると、こうなります。

駿台予備学校と河合塾は「東海大学医学部が一番難しい」としていますが、ベネッセは「聖マリアンナ医科大学が一番難しい」としています。岩手医科大学医学部と聖マリアンナ医科大学の偏差値を見ると駿台予備学校と河合塾は「同じ」としていますが、ベネッセは「聖マリアンナ医科大学の方が難しい」としています。

このように、医学部の偏差値ランキングは絶対的なものとは言えません。
1つの医学部の偏差値ランキングだけを見るのではなく、複数の偏差値ランキングを見て自分なりに判断してください。