• 医学部・歯学部News
  • 岩手医科大学歯学部の偏差値は?求める人物像から入試対策まで歯学部受験のプロが解説

医学部・歯学部News

合格請負人田尻が大学ごとの入試対策から最新の私立医学部・歯学部の動向までを日々配信中

岩手医科大学歯学部の偏差値は?求める人物像から入試対策まで歯学部受験のプロが解説

この記事の目次

     

    岩手医科大学は、医学部と共に歯学部、薬学部、看護学部を擁する医療総合大学です。私立大学で医学部と歯学部を併設しているのは昭和大学と岩手医科大学の2校だけです。
    岩手医科大学歯学部の入試で合格するための方法をお伝えします。

     

    1. 岩手医科大学歯学部に関する基本情報

     

    1-1.岩手医科大学歯学部の概要

     

    明治30年(1897年)に私立岩手病院が創設され、明治34年(1901年)には岩手病院を実習場として東北・北海道初の私立岩手医学校が設立されました。
    その後、昭和3年(1928年)に私立岩手医学専門学校が誕生し、昭和22年(1947年)に「岩手医科大学」に変更し、昭和26年(1951年)新制岩手医科大学が発足、そして昭和40年(1965年)に歯学部が設置されました。

     

    岩手医科大学の建学の理念としては、『岩手医科大学学則 第1章第1条』に以下の記載があります。
    「本学の目的は、医学教育、歯学教育、薬学教育及び看護学教育を通じて誠の人間を育成するにある。すなわち、まず人としての教養を高め、充分な知識と技術とを修得させ、 更に進んでは専門の学理を究め、実地の修練を積み、出でては力を厚生済民に尽くし、入っては真摯な学者として、斯道の進歩発展に貢献させること、これが本学の使命とする所である。」
    ここでいう「厚生済民」は岩手医科大学独自のもので、「厚生」とは「人民の生活を豊かにすること」「済民」とは「苦しんでいる人々を救済すること」を指します。

     

     

    1-2.岩手医科大学歯学部が望む学生像とは?

     

    岩手医科大学歯学部のアドミッションポリシーは以下の通りです。

    本学は、「医療人たる前に、誠の人間たれ」という建学の精神のもとに、地域医療に貢献する医療人育成を使命として設立されました。
    学則には、「まず人間としての教養を高め、充分な知識と技術とを習得し、更に進んでは専門の学理を極め、実地の修練を積み、出でては力を厚生済民に尽くし、入っては真摯な学者として、斯道の進歩発展に貢献する」ことが掲げられています。
    歯学教育・教養教育を通して、優れた資質と深い人間愛を有する医療人、研究者、人格的に成長できる人材の育成が、本学の目指すところです。

     

    歯学部では、次のような人材を求めています。

    ・全人的な立場で周囲と交流できる協調性のある人
    ・明確な目的意識を持って、積極的に社会貢献のできる人
    ・科学的な思考のもとに周囲の現象を捉えることができる人
    ・医学や歯学を生涯学習の対象として捉え、意欲的に勉学のできる人
    ・国際社会における医療や研究活動に、積極的に参加する意欲のある人

     

    多様な人材を募るために、一般選抜、大学入学共通テスト利用選抜、医学部入学試験利用選抜、学校推薦型選抜、編入学者選抜により、知識・技能、思考力・判断力・表現力、主体性・多様性・協働性などを多面的・総合的に評価し、入学者を選抜します。

     

    一般選抜および大学入学共通テスト利用選抜、医学部入学試験利用選抜では、高等学校で履修する3教科(理科、数学、外国語)についての筆記試験と面接試験によって、入学後の修業に必要な学力を有していることを確認します。
    筆記試験のなかで、歯科医学を修得するために必要とされる生命現象を理論的に捉える力が身についているかを確認するために理科の試験を課します。
    また、歯科医療の現場で必要とされる医療統計を学ぶに足る基礎学力や国際的コミュニケーション能力を習得するための基礎学力を有していることを確認するために、「数学」、「英語」の試験を課します。
    面接試験では歯科医師をめざす熱意、具備すべき一般常識、社会との協調性などを確かめるとともに、高校在籍時における学修態度、課外活動などを調査書により評価します。
    これらの試験を通して、歯科医師にふさわしい資質とバランスの取れた人格とを備えているかの総合的な判断をおこないます。

     

    学校推薦型選抜では、志望理由書や調査書に基づいて学習に必要な基礎知識を有しているかを確認するとともに、歯科医療の実践に必要とされる問題発見力とその問題解決に必要な思考力を有しているかを小論文にて評価します。
    加えて、面接試験では、歯科医療の現場で必要とされる自己の考えを人にわかりやすく説明する力や人の意見を聞きそれについて議論する力を評価するとともに、高校在籍時における学修態度、課外活動などを調査書により評価します。

     

    編入学者選抜は、高い目的意識をもった他専門領域の履修者あるいは社会経験者を受け入れ、それらの経験を生かしながら歯科医師としての知識・態度・技能を修得するために実施しています。
    選抜は小論文と面接とでおこない、これらのなかで歯科医師をめざす熱意とともに、基礎知識や一般常識を質し、勉学する資質を備えているかを判断します。

     

    なお、入学者の受け入れにあたっては、民族、宗教、国籍、年齢、性別、家庭環境、居住地域および性的指向などを問わず、多様な人材を募集します。

     

     

    1-3.岩手医科大学歯学部の偏差値

     

    河合塾、駿台予備学校、ベネッセ(進研模試)の歯学部偏差値ランキングを見ると岩手医科大学歯学部の偏差値はこのようになっています。

     
      河合塾 駿台 ベネッセ
    東京歯科大学 55.0 50 65
    日本大学 55.0 46 60
    昭和大学 52.5 49 65
    岩手医科大学歯学部 35.0 47 50

     

    岩手医科大学歯学部の偏差値ランキングは河合塾では35.0で偏差値区分の最下位ですが、駿台、ベネッセでは上位校に迫る数値が出ています
    自身が受験した模試に合わせてランキング表を確認してください。
    河合塾の数値が低いからといって、誰でも受かるということはありません。また、「偏差値ランキング」は一般選抜を対象としているので一般選抜以外には当てはまらないことに注意することが大切です。

     
     
     

    2. 岩手医科大学歯学部の入試

     

    アドミッションポリシーにあるように、岩手医科大学歯学部は一般選抜以外に、「共通テスト利用選抜」「医学部入学試験利用選抜」「学校推薦型選抜」「編入学者選抜」を設定しています。
    この内、「医学部入学試験利用選抜」は令和6年度入試で新設された方式です。ここでは「一般選抜」「医学部入学試験利用選抜」「共通テスト利用選抜」について述べますが、そのほかの方式については募集要項をよく確認してください。
    また、岩手医科大学歯学部には「編入学者選抜」に関連して「歯学部から医学部への転部」という特徴的な制度があります。1年次から2年次に進級する際に選抜されますが、「若干名」となっている以外に詳細は不明ですから、希望者は入学後に検討してみるのもいいかもしれません。

     

    2-1.一般選抜

     

    前期と後期の2回あり、募集人員はそれぞれ25名と7名です。試験科目は「英語」「数学(数Ⅰ・Ⅱ・A)」「理科(「物理基礎・物理」「化学基礎・化学」「生物基礎・生物」から1科目選択)」「面接」です。面接は50点の配点があり、調査書の評価が含まれます
     

    2-2.医学部入学試験利用選抜

     

    令和6年度入試で新設された制度で、前期と後期の2回あり、募集人員はそれぞれ3名と7名です。試験科目、試験日、試験会場は医学部一般選抜一次試験と同じです。

     

    2-3.共通テスト利用選抜

     

    前期と後期の2回あり、募集人員はそれぞれ7名と3名です。共通テストで指定される試験科目は下記の通りで、他に個別試験として配点50点の面接があります。
    ・「英語」 リーディングのみ
    ・「国語」「数学」 「現代文」「数学Ⅰ・数学A、数学Ⅱ・数学B」から1科目
    ・「理科」 「物理」「化学」「生物」から1科目あるいは「物理基礎」「化学基礎」「生物基礎」から2科目
    ※「国語、数学」、「理科」で1科目以上受験した場合は、高得点の科目を合否判定に利用
    ※「国語」は「近代以降の文章」のみを利用

     

     

    3.岩手医科大学歯学部受験のポイント

     

    3-1.学力試験対策

     

    岩手医科大学歯学部の入試科目は英語、数学、理科で歯学部の入試科目としては標準的です。
    とはいえ、どの科目も得意で高得点を取れるという人は少ないでしょうから、苦手科目の底上げや得意科目の維持、向上など、それぞれの課題を見つけて対策を進めましょう

     

    3-2.小論文・面接対策

     

    今回取り上げた入試区分では、試験科目に「小論文」はありませんが、「学校推薦型選抜(公募制・指定校制)」「編入学者選抜」では小論文が課され、小論文と面接のみで合格者が選抜されます。
    小論文も面接も、相当な対策が必要です。付け焼刃のような練習では合格は見込めませんから、しっかりした対策を目指して岩手医科大学歯学部の入試を熟知したプロに相談してください。

     

     

    3-3.岩手医科大学歯学部受験のまとめ

     

    首都圏や関西圏など大都市圏の受験生から敬遠されることが多く、優秀な受験者と入学者の確保に苦労している印象がある岩手医科大学歯学部ですが、歯学部進学の目的が歯科医師国家試験合格と歯科医師免許取得であること、一般選抜、共通テスト利用選抜、医学部入試利用選抜の前期では本学以外に東京、大阪、仙台の試験会場があることを考えると、昭和40年設立という歴史を持つ岩手医科大学歯学部は受験校や進学先として前向きに検討して良いでしょう。
    ただし、先に述べたように上位校に比べて偏差値ランキングは低いですが、募集人員が多くないので受験する場合は入念に計画を立てて対策を行うことが必要です。