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- 愛知学院大学歯学部の偏差値は?求める人物像から入試対策まで歯学部受験のプロが解説
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この記事の目次
愛知学院大学は、明治9年(1876年)に開設された曹洞宗専門学支校を前身とする伝統ある私立歯学部人気校の1つです。愛知学院大学歯学部の入試で合格するための方法をお伝え致します。
1.愛知学院大学歯学部に関する基本情報
1-1.愛知学院大学の概要
愛知学院大学は1876年に曹洞宗専門学支校として創設されました。以来、150年近い伝統を誇る中京圏屈指の伝統校です。昭和36年(1961年)に歯学部を開設し、現在は10の学部を持つ大学となりました。
愛知学院大学のキャンパスは日進キャンパス、名城公園キャンパス、楠元キャンパス、末盛キャンパスの4つがありますが、歯学部は楠元キャンパスに、歯学部付属病院と臨床教育研究棟が末盛キャンパスにあり、1‐4年次が楠元キャンパス、5‐6年次は末盛キャンパスで過ごすことになります。
建学の精神は「行学一体」と「報恩感謝」。「禅の思想を基とした「行学一体」の人格形成に努め、「報恩感謝」の生活ができる社会人の育成を、建学の精神としています。「行」とは自己を磨くこと、「学」とは真理を探究すること。「行学一体」は、知的な理解のみに満足せず、人間的な成長をめざす「知の実践」を意味します。
また、「報恩感謝」は、自己を正しく捉えて、ともに生きるすべての人や社会に感謝し、その恩恵に報いる心を表す言葉です。こうした教育理念を貫き、学生の自発的な修学や挑戦を促して、社会に広く貢献できる力を培います。」としています。
歯学部は「つながる力」「動かす力」という2つの言葉を掲げています。「つながる力。」とは、ひとりではできないことでも協働することで新たな価値を生み出すことができるという信念。「動かす力。」とは、社会をより良い方向へと導くための潮流をつくりだすという決意。
本学のめざすべき姿であり、これからも果たすべき「社会との約束」でもあります。と発信しています。
愛知学院大学歯学部には歯科医師国家試験について「6年生の国家試験全員受験・全員合格」という目標があります。
そして、合格率を上げるために選抜した学生のみを受験させる大学もある中、6年生全員が国家試験を受け、在学生全員を母数とする合格率で、全国の私大で東京歯科大学、昭和大学歯学部に次ぐ3位、西日本の私大では1位となったことを公開しています。
愛知学院大学歯学部附属病院は歯科関連の診療科の他に内科、外科、耳鼻咽喉科、麻酔科を備えています。
1-2.愛知学院大学歯学部が望む学生像とは?
愛知学院大学歯学部のアドミッションポリシーには、下記のことが書かれています。
歯学部は、優れた人材を公平かつ多様な方法で選抜するという方針に基づき、卒業認定・学位授与の方針(DP:ディプロマポリシー)及び教育課程編成・実施の方針(CP:カリキュラムポリシー)に定める教育を受けるのにふさわしい、以下に掲げる人の入学を求めています。
1.人としての基本的モラルを身につけている人。
2.感謝と思いやりの精神を持っている人。
3.歯学教育を受けるために必要とされる十分な理系の基礎学力を持っている人。
4.論理的思考に優れ、豊かな自己学習能力を涵養しようとする人。
5.医療人としての強い使命感と高い志を持ち、社会に貢献することを希望する人。
6.グローバルな視野と主体性を持ち、協働して歯科保健・医療を実践しようとする人。
これらに「受験生が合致しているか」が面接で確かめられます。愛知学院大学歯学部の面接では、自分は愛知学院大学歯学部が求める人物像と合致していること、建学の精神の「行学一体」と「報恩感謝」を、面接官の問いかけに対して自分の言葉で伝えられるようにしておくことが大切です。
1-3.愛知学院大学歯学部の偏差値
河合塾、駿台予備学校、ベネッセ(進研模試)の歯学部偏差値ランキングを見ると、愛知学院大学歯学部の偏差値はこのようになっています。
河合塾 | 駿台 | ベネッセ | |
東京歯科大学 | 55.0 | 50 | 65 |
日本大学 | 55.0 | 46 | 60 |
昭和大学 | 52.5 | 49 | 65 |
大阪歯科大学 | 50.0 | 49 | 57 |
日本歯科大学 | 47.5 | 47 | 61 |
北海道医療大学 | 45.0 | 51 | 51 |
明海大学 | 40.0 | 52 | 48 |
愛知学院大学 | 37.5 | 47 | 49 |
愛知医科大学歯学部の偏差値ランキングは各社まちまちです。河合塾が37.5と聞くと低い、合格しやすいと考えられそうですが、駿台では上位校とそれほど差がありません。偏差値の仕組み、ランキングの仕組みを一言で説明するのは難しいですが、母集団によって変動しますので、単一のランキングだけで判断するのは危険です。
また、愛知学院大学歯学部は前期・中期・後期と3回ある一般選抜以外に、共通テスト利用、学校推薦型選抜、総合選抜(AO)で計8種類と多様な方式の入試を実施していて、一般選抜以外の方式の定員が半分を超えます。「偏差値ランキング」は、一般選抜を対象としていますので推薦入試の難易度とは異なります。
河合塾のランキングは同じ愛知県ということもあって一定の信頼度はあるでしょう。ただし、河合塾のランキングは全統模試のデータを基にしたものであることを忘れないでください。
2.愛知学院大学歯学部の入試
2-1.共通テスト利用入試
①共通テストプラス試験
募集定員5名で、大学入学共通テストの高得点2科目と一般入試の前期試験Aの高得点1科目の合計点で選抜します。個別試験がありませんから、小論文も面接も課されませんが、前期試験Aを受験しなければなりません。
②Ⅰ期(3科目型・4科目型)
募集定員は3科目型が5名、4科目型は3名で、互いに併願できます。面接はありますが、個別試験はありません。
試験科目は、
3科目型
外国語:英語(リスニング含む)、フランス語、ドイツ語、中国語、韓国語から1科目
数学・理科:数学Ⅰ・A、数学Ⅱ、数学Ⅱ・B生物、化学、物理から高得点の2科目(数学2科目は不可)
4科目型
外国語:英語(リスニング含む)、フランス語、ドイツ語、中国語、韓国語から1科目
数学:数学Ⅰ・A、数学Ⅱ、数学Ⅱ・Bから高得点の1科目
理科:生物、化学、物理から2科目
となっています。
3科目型、4科目型共に新入生特待生制度の対象です。
③Ⅱ期(後期、2科目)
募集定員は3名と少ないですが、共通テスト後に出願できるのが特徴です。外国語がなく、Ⅰ期の3科目型の数学・理科と同じ試験科目です。面接はありますが、個別試験はありません。
2-2.学校推薦型選抜
①公募制推薦A(専願)・B(併願)
愛知学院大学歯学部の推薦入試は専願(合格の場合は入学することが条件)のAと併願可能なBがあります。募集定員はAが10名、Bが15名で、試験科目はA、B共に60分の課題文設問型小論文と個人面接です。
判定(配点)は、AB共に小論文が100点、評定が30点(評定平均を6倍)の計130点満点で行います。出願資格で注意すべきポイントは、AB共に1浪まで出願可能であること、評定がAは3.3以上が必要ということ(Bは評定の基準はありません)、理科で「生物・化学・物理のうち2科目以上を履修していること(「基礎科目」は含まれません)です。
そして、AB共に大学独自の「特別考慮」が適用されます。これは大学が指定する資格を有する場合に、合否判定の際特別に考慮するもので、歯学部の場合は「生物・化学・物理のいずれかが(高校の)学習成績の状況が4.5以上の者」となっています。
②指定校推薦(専願)
募集定員は18名と多いので、専願での受験を考えている場合は高校に「指定校に入っているかどうか」を確認してください。試験科目は60分のテーマ型小論文と個人面接です。
そして、公募推薦ABと同じく、「理科で生物・化学・物理のうち2科目以上を履修していること(基礎科目は含まない)」という条件があります。
2-3.総合型選抜(AO)
募集定員は8名で、専願の自己推薦型であるため高校の推薦は不要です。選考は書類審査の1次選考と試験当日の2次選考の2段階に分かれています。
選考方法と配点は、
1次:自己推薦書(1000字)+活動報告書+活動報告書の証明資料+人物評価書など70点、評定30点(評定の6倍)の計100点満点
2次:小論文(60分800字)50点、個人面接50点の計100点満点
となっています。
出願資格として以下の内容が記されているので、書類審査、小論文、面接で確認されると考えられます。
卒業後、歯科医療の活性化に積極的に取り組もうとする者で次の各条件を満たす者。
⑴歯科医療の重要性を理解し、歯科医師になる目的意識を明確に持っている者。
⑵本学科のアドミッション・ポリシーを理解し、本学科で学ぶことを特に希望する者。
⑶日本の高等学校または中等教育学校(文部科学省認定の在外教育施設を含む)を20○○年(出願年)9月卒業(半年留年や通信制高校など)、または20○○年(入学年)3月卒業見込みの者。
⑷次の①~④のいずれかに該当する者
①優れた独創性能力を有し、模倣によらない独自のアイデアが認められる創作活動、研究活動などを行った者
②優れたリーダーシップを有し、正課、課外活動、社会貢献活動、趣味、サークルなどで指導的役割を担った者
③ボランティア活動において、献身的な役割を果たした者
④高度な資格や優れた能力を有している者
⑸在籍する高等学校等の調査書の全体の学習成績の状況(評定)が3.3以上の者
⑹理科で基礎を付さない「生物」「化学」「物理」のうち2科目以上を履修している者
2-4.編入学試験
愛知学院大学歯学部では編入学試験も行っていて、合格すると2年次に編入学することになります。「大学に2年以上在学し、54単位以上取得した者、または取得見込みの者」が対象となります。
試験科目は英語、理科(総合理科:生物・化学・物理の基礎知識を総合的に問う)と小論文(40分400字)、面接です。
2-5.一般選抜
愛知学院大学歯学部の一般選抜(一般入試)は前期50名、中期5名、後期3名の募集定員で行われます。
前期と中期の試験科目は、英語、数学・理科(「数学Ⅰ・A・Ⅱ」「生物基礎・生物」「化学基礎・化学」「物理基礎・物理」から2科目)と面接です。後期は英語を除いた2科目と面接です。
愛知学院大学歯学部の一般選抜には、他に上に述べた「共通テストプラス試験」もあります。
2-6.愛知学院大学歯学部入試のまとめ
愛知学院大学歯学部の入試は非常に多様です。また、前期試験A、共通テストプラス試験、共通テスト利用試験には併願の場合に検定料(受験料)が割引になる併願割引制度があります。
専願であれ併願であれ、愛知学院大学歯学部を志願される皆さんは、どのような入試があるのかをしっかりと確認して、自分に合った入試制度を受験してください。
3.愛知学院大学歯学部受験のポイント
3-1.学力試験対策
愛知学院大学歯学部の学力試験科目は、基本的に英語、数学、理科1科目です。
そして、共通テスト利用入試を除いて、数学Bの設定がありません。出願する場合は数学の履修状況を確認しておくことが重要です。
3-2.面接対策
愛知学院大学歯学部の面接は、個人面接です。面接時間は20分とかなり長いものもあります。対策に際しては過去から未来に渡る「自分ストーリー」を意識するようにしてください。くれぐれも「問答集」など個別の質問に単純に答えるスタイルの対策に終始することのないように注意してください。
面接対策は、「歯学部の面接官が何を求めているか」、「面接官の本音」をよく知っている人にお願いすることをお勧めします。歯学部の面接は何のためにやるのかを聞いたときに「将来、良い歯科医師になれるかを見極めるため」と答える指導者では、非常に心配です。面接官の「何を知りたいか」という本音が分かっているとは言えません。
3-3.小論文対策
愛知学院大学歯学部の入試では小論文は学校推薦型選抜、総合型選抜(AO)、第2学年編入学試験で課されます。一般入試にはありません。
形式はテーマ型で、「健康寿命」「歯科医療と社会貢献」「身体の健康と歯科」など、これまでは歯学部の小論文ではおなじみの課題が出題されました。
しかし、これからは「2025年問題」や「2040年問題」などの社会問題と歯科医療の関係がクローズアップされる可能性がありますから、入念な対策が必要です。それらの問題についての知見がある人に指導を受けてください。
そして何より大切なのは、制限字数を書ききることです。半分程度で終わってしまっては、「採点対象外」とされてしまう恐れがあります。そうなると、学力試験の点数に関係なく「不合格」とされてしまう可能性があります。よく言われる「8割」でも十分ではありません。「どんなテーマであっても設定字数ぎりぎりまで書く」。愛知学院大学歯学部の小論文対策は、これを目指して準備してください。