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- 東京歯科大学の偏差値は?求める人物像から入試対策まで歯学部受験のプロは解説
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合格請負人田尻が大学ごとの入試対策から最新の私立医学部・歯学部の動向までを日々配信中
この記事の目次
1.東京歯科大学に関する基本情報
1-1.東京歯科大学が望む学生像とは?
東京歯科大学のアドミッションポリシーは以下のように書かれている。
建学の精神である「歯科医師たる前に人間たれ」を基本に、人物・学力ともに優秀で、将来、国民医療に貢献する歯科医療担当者としての能力・適性を充分に有する人を求めています。
1) 医療人としての倫理観や高い人間性を、常に向上心をもって追求しようと努力している人。
2) 歯科医学を学ぶための充分な資質と基礎学力を有している人。
3) 口腔の健康管理を通し、国民の医療と福祉に貢献しようとする意欲がある人。
4) 様々な問題に対して広い観点から考え、判断し、解決しようと努力できる人。
5) 他者との協調を大切にし、主体性を持って多様な人々と協同することができる人。
こういった人材を求めているが、最も重視される本音は「歯学部の授業についてくることが出来るか」である。
全国の全ての歯学部の中で、歯科医師国家試験合格率トップを維持するためには、一人ひとりの学生が歯学部の授業をしっかりと自分のものにすることが欠かせない。
東京歯科大学が求める学生像は、まさにここに尽きると言ってもいいだろう。
今年の4月に東京歯科大学に進学した生徒達からの情報によれば、入学式の翌日に試験があった、ということだ。
能力別のクラス構成にするための試験のようだが、「学生を甘やかさない」という東京医科大学の強い意志を感じる。
実際の面接でも、「歯科医師になる明確な目的意識」が問われる。
1-2.東京歯科大学の偏差値
私立歯学部受験における入試難易度は、歯学部一般選抜のボーダーライン偏差値を示した、いわゆる「歯学部の偏差値ランキング」に頼ることが多い。
この「歯学部の偏差値ランキング」で信頼性が高いと考えられるのは、河合塾の「入試予想ランキング」と駿台予備学校の「合格目標ライン」である。
河合塾、駿台予備学校それぞれの「歯学部の偏差値ランキング」で、東京歯科大学の偏差値は最も高くなっている。
2023年9月の「歯学部偏差値ランキング」を見ると、河合塾は東京歯科大学のボーダーライン偏差値を55.0としていて、東京歯科大学に続く偏差値は昭和大学歯学部の52.5、大阪歯科大学の50.0としている。
一方、駿台予備学校の「歯学部の偏差値ランキング」で最も高い偏差値の大学は東京歯科大学の偏差値50としているが、昭和大学歯学部の偏差値も東京歯科大学と同じ50としている。
さらに大阪歯科大学の偏差値は49としており、3校の間にほとんど差はない。
河合塾 | 駿台 | |
東京歯科 | 55.0 | 50 |
昭和(歯) | 52.5 | 50 |
大阪歯科 | 50.0 | 49 |
このように、「歯学部の偏差値ランキング」は河合塾と駿台予備学校では違いがある。
歯学部受験生は、一つの偏差値ランキングを見るのではなく、複数の偏差値ランキングを見るようにしてもらいたい。
なお、これらの「歯学部の偏差値ランキング」は歯学部一般選抜の難易度を表しているもので、推薦入試やAO入試の難易度ではないので注意が必要である。
歯学部推薦入試、AO入試の難易度については歯学部受験に詳しいメルオンのような予備校に聞いてみるといいだろう。
1-3.東京歯科大学の偏差値推移
駿台予備学校の「歯学部偏差値ランキング」を2010年から見てみよう。
2010年の東京歯科大学の偏差値は51、2015年の偏差値も51,2020年の偏差値は52,そして2024年の偏差値は50とされている。
2020年に比べ2024年の東京歯科大学の偏差値は下がっているが、これは歯学部全体に言えることで、歯学部人気も落ち着きを見せていると言えよう。
ちなみに、現在は歯学部で最も偏差値が高いとされているのは東京歯科大学であるが、2010年の偏差値を見ると愛知学院大学歯学部の偏差値は53で東京歯科大学の偏差値51を上回っている。
2015年も愛知学院大学歯学部は52,東京歯科大学は51で、愛知学院大学歯学部が東京歯科大学の偏差値を上回っていた。
2024年では東京歯科大学50,愛知学院大学歯学部47と逆転している。
2010 | 2015 | 2020 | 2024 | |
東京歯科 | 51 | 51 | 52 | 50 |
愛知学院 | 53 | 52 | 51 | 47 |
1-4.東京歯科大学の歴史
東京歯科大学は明治23年に創設者、高山紀齋が日本で最初の歯科医学院となる、高山歯科医学院を東京港区に設立したことから始まる。
明治23年に東京歯科医学院に改称し、明治40年には東京歯科医学専門学校へと発展した。
昭和21年に旧制東京歯科大学の設立認可を受け、昭和27年には新制東京歯科大学としてスタートし、現在の東京歯科大学に続いている。
1-5.東京医科大学の施設
学部は歯学部だけの単科大学であるが、主に歯科衛生士を養成する東京歯科短期大学も同一法人下にある。
学習施設として平成24年に完成した図書館などを有する「さいかち坂校舎」、主に歯学部の授業を行う平成25年完成の「道橋校舎新館」がある。
また、歯科医学教育開発センター、口腔科学研究センター、口腔がんセンターと3つの関連施設を有する。
東京歯科大学には、多様な臨床教育を支える2つの病院と歯科医療センターがある。
最先端の高度な歯科医療を提供する都市型病院である「水道橋病院」と歯科・口腔外科・内科・外科など26の診療科と口腔がんセンターなどを持ち、歯科に加え医科も揃えた地域の拠点病院である「市川総合病院」、そして、歯科専門の拠点施設として地域の医療機関との連携を続ける「千葉歯科医療センター」があり、しっかりとした臨床教育体制が築かれている。
1-6.歯科医師国家試験合格率
東京歯科大学最大の魅力は歯科医師国家試験合格率にあるだろう。
2023年実施の第116回、歯科医師国家試験においても国公私立の全ての歯学部の中で、総合成績で1位となっており国立大学、公立大学、私立大学全ての歯学部で歯科医師国家試験合格率がトップとなるのは、これで6年連続となった。
東京歯科大学歯学部の2023年の歯科医師国家試験、総合合格率は92.7%であった。
2位であった新潟大学歯学部の合格率は85.5%、3位の鹿児島大学歯学部は82.5%、4位の東京医科歯科大学歯学部は78.3%、5位の大阪大学歯学部の合格率は77.8%で、唯一東京歯科大学だけが歯科医師国家試験合格率90%を上回っている。
このように、東京歯科大学歯学部は歯科医師国家試験で非常に高い合格率を維持し続けており、ここに惹かれる歯学部受験生や保護者は多い。
1-7.東京医科大学の入試の特徴
(1)一般選抜
東京歯科大学の一般選抜は募集人員約50名の一般選抜1期と募集人員約15名の一般選抜Ⅱ期の2回行われる。
一般選抜1期の試験科目は英語、数学、理科1科目、小論文、面接となる。
数学の試験範囲は、私立歯学部としては最も広い1A、2Bとなる。
さらにこれまで試験範囲から除かれていた数学1の「データの分析」も試験範囲に加えられた。
東京歯科大学を志望する受験生としては、過去問に出ていない分野の準備も必要になる。
東京歯科大学一般選抜の英語は長文問題の他に必ず「整序問題」が出題される。
ここは落とせない部分であるのでぜひ、受験生は整序問題に慣れておいて欲しい。
英語、数学、理科の試験時間は各70分と私立歯学部入試の中では長めの試験時間になっている。
試験時間が長い、ということはそれだけ時間が掛かる出題ということでもある。
過去問演習で、科目ごとの試験時間の使い方を考えておくといい。
東京歯科大学では合格最低点を公表していないが、「7割」が合否ラインとなるだろう。
と言うことは、満点は必要なく、「いかに確実に合計点で7割を取るか」が重要である。
全科目7割以上、ではなく「合計点で7割」であることを考えて各科目の時間配分を考えるようにしてほしい。
東京歯科大学の小論文は小論文だけでなく漢字の書き取り、四字熟語などの国語的な問題も出題される。
この部分の準備も欠かすことは出来ない。
小論文は、医療・歯科医療に関するテーマ型、40分・250字の小論文が出題される。
40分・250字の小論文に慣れることが大切である。
一般選抜Ⅱ期の試験科目は1期と異なるので注意が必要である。
一般選抜Ⅱ期の試験科目は英語必須で、数学と理科はどちらかを選択する2科目入試となる。
この他に小論文と面接が課される。
東京歯科大学の一般選抜Ⅱ期では本来、医学部を志望している受験生も出願してくる。
昭和大学歯学部が医学部への転部制度を廃止したことによって、医学部志望者の併願先は、東京歯科大学に集中する傾向が強まった。
東京歯科大学一般選抜Ⅱ期は募集人員が約15名と少ないこともあり、1期に較べて難易度は上がる。
東京歯科大学志望者は、1期で決めてしまいたい。
(2)共通テスト利用入試
東京歯科大学の共通テスト利用入試は募集人員8名の1期と募集人員5名の2期に分かれる。
1期も2期も、合否に使用する教科は英語、数学、理科で一般選抜と同じである。
なお、英語のリスニングは合否判定に使用されない。
東京歯科大学の共通テスト利用入試のボーダーライン得点率は、河合塾も駿台予備学校も得点率70%程度としている。
(3)推薦入試
東京歯科大学の入試で「本番」と言えるのは、一般選抜ではなく推薦入試(学校推薦型選抜)と言える。
公募推薦入試は1浪生までの受験が可能で、評定平均での制限はない。
こういった条件であれば、「私立歯学部受験生全てが受験可能」と言ってもいいくらいである。
当然、東京歯科大学志望者は推薦入試の受験から入試をスタートさせる。
一般選抜は、「推薦入試で合格出来なかった受験生の戦い」となるため東京歯科大学の入試では、実質的に「推薦入試が本番」となる。
東京歯科大学の推薦入試は英語、数学、理科1科目、小論文、面接で行われ、「合格した場合は必ず入学する」という条件の付いた「専願制」である。
学力試験の試験時間は各科目50分で行われるが、過去問は公表されていない。
数学は一般選抜とは大きく出題傾向が異なるので注意が必要である。
東京歯科大学推薦入試の受験を考えている受験生を悩ますのが、「過去問が無い」ことである。
過去問が公表されていないことから、的確とは言えない推薦対策を行っている受験生が多いと感じる。
メルオンでは過去の合格者たちからの報告を基に、東京歯科大学推薦入試を再現出来ている。
過去問が無くて困っている受験生は、こういった私立歯学部入試に詳しい予備校に相談するといいだろう。
(4)編入学試験
東京歯科大学には歯学部再受験生のための入試が、編入学試験と学士等特別選抜の2種類ある。
2つの違いは「入学時期」で、編入学試験で合格すると2年次に編入学することになるが、学士等特別選抜の合格者は他の入学者と同様に1年次に入学する。
試験問題は、編入学試験も学士等特別選抜も同じものである。
2.東京歯科大学の偏差値や難易度を解説!
2-1.2024年度入試の偏差値
「東京歯科大学の偏差値」の項でも述べたが、17ある私立歯学部の中で東京歯科大学は、最も偏差値の高い大学である。
ただ、河合塾と駿台予備学校では、「東京歯科大学が最難関」という点は変わらないものの、多少の違いがある。
2024年度入試のボーダーライン偏差値
河合塾 | 駿台 | |
東京歯科 | 55.0 | 50 |
昭和(歯) | 52.5 | 50 |
大阪歯科 | 50.0 | 49 |
これは、一般選抜1期の難易度を偏差値で表したもので、一般選抜Ⅱ期では難易度は上がると考えて欲しい。
2-2.歯学部偏差値ランキング
河合塾、駿台予備学校の2024年度入試の偏差値ランキング
駿台 | 河合塾 | |
東京歯科 | 50 | 55.0 |
昭和 | 50 | 52.5 |
大阪歯科 | 49 | 50.0 |
日大A | 47 | 47.5 |
日本歯科 | 47 | 47.5 |
愛知学院 | 47 | 37.5 |
北海道医療 | 46 | 35.0 |
明海 | 45 | 40.0 |
日大松戸 | 45 | BF |
神奈川歯科 | 45 | 35.0 |
朝日 | 45 | 37.5 |
日本歯科新潟 | 44 | 37.5 |
岩手医科 | 43 | 35.0 |
奥羽 | 43 | 35.0 |
鶴見 | 43 | 35.0 |
「私立歯学部の偏差値ランキング」を見ると駿台予備学校と河合塾では違いが見られる。
歯学部受験生は、一つの「歯学部偏差値ランキング」だけを見るのではなく、複数の歯学部偏差値ランキングを見るようにしてほしい。
・併願されやすい大学
歯学部の推薦入試は原則「専願制」であるので東京歯科大学との併願は基本的に無い。
しかし、大阪歯科大学の推薦入試は「専願制」を取っていないので東京歯科大学と併願もあり得る。
実際に昨年のメルオン生で東京歯科大学を第一志望としていた生徒が、推薦入試で大阪歯科大学も併願した。
東京歯科大学と大阪歯科大学の両方に合格して東京歯科大学に進学した。
こういったケースは増えていくと考えられる。
一般選抜では東京歯科大学と偏差値の近い、昭和大学歯学部、大阪歯科大学、日本歯科大学生命歯学部、日本大学歯学部が併願されることが多い。
3.東京歯科大学受験のポイントを解説
3-1.入試対策
東京歯科大学に限らず、私立歯学部受験の対策では「どこまでやるのか」が非常に重要である。
満点を取ること以上に「合格点は何回やっても確実に取れる」ことの方が歯学部入試では大切である。
入試対策は、「ここに向かうこと」だと考えて欲しい。
歯学部受験生を見ていると、必要以上に難しいことまでやっている受験生が多いと感じる。
「出ない問題」のための勉強を頑張っている受験生が非常に目につく。
例えば数学で「青チャート」をやっている受験生もいるが、それでは「受かる受験生も受からない」かもしれない。
こうなってしまう原因のひとつに、「私立歯学部入試を分かっている先生は少ない」ということが挙げられる。
東京歯科大学一般選抜は過去問が公表されているので過去問を見て、そこで合格点を取るための勉強を考えることが合格への近道となる。
指導する先生にもぜひ見てもらうようにしたい。
東京歯科大学の入試対策で、忘れてはいけないのが「試験時間」である。
ただ「解ける」だけでなく「試験時間内に解ける」ことが出来なければ、合格は無い。
よくある問題を「早く正確に解く」ことを目指して欲しい。
先にも述べたように、東京歯科大学では推薦入試の過去問を公表していない。
過去問が無いことで的確な推薦入試対策が行いにくいが、メルオンのように過去問を再現している予備校に相談するといいだろう。
3-2.面接対策
東京歯科大学の面接は、一般選抜も推薦入試も面接官2名による個人面接となる。
面接の前に「東京歯科大学を知ったきっかけ」、「通っていた塾・予備校」、「オープンキャンパスへの参加」などの記入が求められるアンケートがある。
「歯学部の面接は何のために行う?」と聞くと、受験生も予備校も「将来良き歯科医師になるかどうかを見極めるため」と言うが、大学の本音はそこではない。
面接対策は時間を掛ける必要は無いが、「歯学部の本音」、「東京歯科大学の面接官が期待する答え」を分かっている人に指導してもらうことをオススメする。
4.東京歯科大学にまつわるニュース
4-1.慶應義塾大学の合併について
2020年11月26日、学校法人慶應義塾と学校法人東京歯科大学双方から、法人の合併と東京歯科大学歯学部の慶應義塾大学への統合に向けて協議を開始したことが発表されました。
「東京歯科大学歯学部が、慶應義塾大学歯学部になる」ということで社会的にも大きな話題となりました。
この発表の数日後には、東京歯科大学の学長からメルオンの代表者に電話がありました。
メルオンの代表者、田尻はこれまで2回、東京歯科大学からの依頼で東京歯科大学の教員、職員に向けて講演を行っています。
こういったこともあり、日頃から親しくしていることから学長から直接、「受験生の反応はどうか?」と電話が入りました。
受験生や保護者の期待は非常に大きいものがありました。
それから1年後の2021年11月25日に、双方から「スケジュールを見直し、目途を設けず協議を継続」と発表され、東京歯科大学と慶應義塾の合併はいったん白紙となりました。
白紙となった理由についても、東京歯科大学からお聞きすることが出来ましたが、
詳細は控えます。
5.まとめ
これまで見てきたように、東京歯科大学は長い歴史・伝統と圧倒的な歯科医師国家試験合格率から私立歯学部で人気№1、偏差値も最も高い最難関大学です。
私立歯学部最難関の大学ですから、受験生の皆さんは周到な準備で東京歯科大学に立ち向かってください。
東京歯科大学の受験を考えている皆さんは、「東京歯科大学に合格するために必要なこと」に絞って勉強を進めてください。
「何をやったらいい?」、「どうやったらいい?」、「どの問題集を使えばいい」「面接では何が聞かれて、どう答えればいい?」こういったことで、誰に相談すればいいか悩んだら、メルオンにご相談下さい。
きっと、お役に立てると思います。