• 医学部・歯学部News
  • 医学部の総合型選抜(AO入試)に危険な落とし穴。でも、これを知れば大丈夫

医学部・歯学部News

合格請負人田尻が大学ごとの入試対策から最新の私立医学部・歯学部の動向までを日々配信中

医学部の総合型選抜(AO入試)に危険な落とし穴。でも、これを知れば大丈夫

この記事の目次

     

     

    1.医学部の総合型選抜=学力不問?という誤解

     

     

    最近、多くの高校生が「AO入試=学力不問」というイメージを持っています。確かに文系学部や芸術系学部では、これまでの活動実績や志望理由書、面接での人物評価が重視され、学力試験が課されないケースも多くあります。
    しかし、医学部における総合型選抜はこの「AO=学力不問」という常識が通用しません。これをそのまま信じて準備を怠ると、合格は到底望めません。

     

     

    2.医学部AO入試は「学力重視型」──他学部との違い

     

     

    医学部の総合型選抜は、仮に表面上は学力試験が無いように見えても、実は受験生の「思考力」「判断力」「科学的理解力」など医学部生として必要な能力が問われる試験構成になっています。
    なぜなら、医学部は「医師」という国家資格職を目指す学部であり、入学段階から一定レベル以上の学力・能力が求められるからです。総合型選抜で入学しても、6年間の厳しいカリキュラムについていけなければ脱落してしまうため、大学側も「医学部の授業について行ける能力のある人物かどうか」をしっかりと見極めようとするのです。

     

     

    3.東邦大学医学部の総合型選抜に見る「能力評価」の実態

     

     

    東邦大学医学部では「総合入試」という名称の総合型選抜(AO入試)が行われていますが、ここでは一般的な英語、数学、理科の学力試験は実施されません。しかし、それに代わる形で「適性試験」と「基礎学力」が課されます。また、大きな壁となる複数回の面接もおこなわれます。

     

    東邦大学医学部は「適性試験において将来医師として必要な思考力、判断力を有しているかを確認します」としています。基礎学力については「基礎学力の試験では、文章や図表の内容の理解度やそれらを論理的に表現する力、科学的判断力を確認します」としています。
    英語や数学、理科の試験は無くても、受験生本人の能力を多角的に試します。
    「適性試験」や「基礎学力」、「面接」で、知識よりも”どう考えるか”を評価されます。これは一見、簡単に思えるかもしれませんが、実際には高度な思考力や判断力、医療への深い理解が求められるため、しっかりとした準備が必要です。

     

     

    4.東海大学医学部「希望の星入試」の独自試験「オブザベーション評価」とは

     

     

    東海大学医学部の「希望の星入試」では、1次試験で「オブザベーション評価」と呼ばれる非常にユニークな評価方式が導入されています。
    これは、受験生が一定の活動(模擬授業やグループワークなど)に参加する様子を、大学側の観察官が客観的に評価するという形式です。

     

    単に話せるかどうかではなく、「協調性」「観察力」「リーダーシップ」など、将来医師として必要な資質が評価されるのです。
    このような試験に初めて臨む場合、自分では「何を評価されているのか」すら分からないまま終わってしまうこともあります。だからこそ、こうした特殊形式の試験については、事前にしっかりとした対策が欠かせません。
    ちなみに2025年度の「希望の星入試」では、メルオンから11名がオブザベーション評価に臨み、10名がここを乗り越えることが出来ました。

     

    帝京大学医学部の総合型選抜でも1次試験でグループ討論が行われますが、受験を考えるのであれば、一般的なグループ討論対策ではなく、「帝京大学医学部のグループ討論対策」が欠かせません。

     

     

    5.金沢医科大学のAO入試──金沢医科大学が望む面接の答えが鍵

     

     

    金沢医科大学でも総合型選抜が実施されており、「建学の精神に沿った人間性豊かな活力のある人材」を求めています。一般枠や地域枠など4つの枠で26人を募集していて、更に出願資格も「25歳以下」など、多くの受験生に門戸を開いています。

     

    1次試験では英語、数学、理科2科目の学力試験が行われますが、出題範囲が狭く試験時間も短いため基本的な問題中心の出題になります。「難しい問題は解けないが、基本問題なら解ける」受験生であれば合格が現実的になります。
    1次試験の時に「自己推薦書」を60分で書きますが、これは2次試験で評価されますが、当然きっちりとした準備が可能です。
    2次試験では自己評価書の評価と面接が行われます。金沢医科大学のAO入試は1次試験が200点、2次試験が200点の合計400点満点で合否が判定されます。

     

    面接にはなんと140点もの配点が付いていますので、「面接を制す」ことが金沢医科大学AO入試合格に直接的に結びつきます。

     

    「金沢医科大学が面接で望む答え」は、はっきりしています。ここをよく分かっている人に面接の指導をしてもらうといいでしょう。
    なお、出願時に他者からの推薦書も提出します。これは評価の対象にはなっていませんが面接の材料になりますので、そこを意識して書いていただいてください。

     

     

     

    6.岩手医科大学医学部の総合型選抜──卒業生の推薦が必要な入試

     

     

    岩手医科大学医学部の総合型選抜を受験するには、他大学と大きく異なる特徴として「岩手医科大学卒業生からの推薦」が必要です。これは単なる人物評価ではなく、医療人としての適性を第三者が保証する制度となっています。
    この推薦がなければ出願できないため、推薦者探しが大きなハードルになることもあります。しかし、メルオンのような医学部入試に強い予備校では、岩手医科大学の卒業生とのつながりを活用し、必要に応じて推薦者を紹介する体制が整っています。

     

    こうした支援を受けられるかどうかが、受験準備の成否を大きく左右します。

     

    もちろん、推薦を得るためには、受験生自身の熱意と明確な志望理由が必要であり、推薦者との面談を通してしっかりと医師としてのビジョンを語れることが前提です。この段階から専門家のサポートを受けながら準備を進めることが、合格への第一歩となります。
    2浪生までに出願資格が与えられており英語、数学、理科2科目の学力試験と複数回の面接で合否が判定されます。面接の配点は大きく、学力だけでなく「岩手医科大学医学部AOの面接対策」が欠かせません。

     

     

    7.東北医科薬科大学医学部の総合型選抜──「東北地域定着枠」で求められる東北医療への貢献意欲

     

     

    東北医科薬科大学医学部の総合型選抜は「東北地域定着枠」として実施されており、単に学力や活動実績を示すだけでは合格は難しい特徴があります。この入試では、将来「宮城県を除く東北地方5県の医療に貢献する」という強い意欲が求められます。

     

    そのため、志望理由書や面接では「東北の医療事情」についてしっかりと理解し、自分がどのように地域医療に関わっていくかを具体的に語る必要があります。人口減少、高齢化、医師不足といった東北地域特有の課題に対する意識や、自身のキャリアビジョンを明確に持つことが、合否を大きく左右します。
    出願に際しては、出身地による制限はなく全国どこからでも出願出来ますが、東北に縁のない受験生は、「なぜ、東北の医療に貢献したいのか」を説得力を持って語れるようにしてください。

     

    東北医科薬科大学の面接では、単なる意欲表明にとどまらず、地域医療の現状と課題についての深い知識と現実的な考えを持っているかが試されます。これも自己流の対策だけでは不十分で、地域医療についての正確な知識を得るとともに、専門的な指導を受けることが重要です。東北5県と言っても、各県で医療事情は異なりますので、どこか1県に絞って考えるといいでしょう。

     

     

    8.医学部AO対策は「自己流」では通用しない

     

     

    私立医学部の主な総合型選抜について述べて来ましたが、総合型選抜(AO入試)という言葉に惑わされ他学部と同じような試験だと考え、自己流の準備やネットの情報だけで対策を進めてしまうと、非常に危険です。
    私立医学部のAO入試(総合型選抜)では、学力試験・能力試験といった筆記試験に加え、「小論文」「多面的な面接」など、他学部には無い独自形式の試験が課されるため、志望校の試験内容に合わせた対策が必要です。とは言え、個人で全てを網羅して対策するのはなかなか厳しいのが現実だと思います。

     

     

    9.メルオンのような専門予備校の重要性

     

     

    こうした状況で頼りになるのが、医学部受験、医学部入試に特化した予備校です。その中でも、メルオンのように各大学の入試傾向や対策方法を徹底的に研究している予備校は非常に有用です。

     

    メルオンでは、東海大学医学部の「オブザベーション評価」対策や、東邦大学医学部の「適性試験」、「基礎学力」に加え、金沢医科大学の自己推薦書・面接対策などにも対応しています。実際の出題傾向に即した演習を通じて、受験生の弱点を補強することができます。
    加えて、志望理由書や面接対策も志望校ごとにカスタマイズされており、「ここまでやるのか」と驚くほどの精度で対策が行えます。

     

    メルオンに限らず、医学部受験に詳しい予備校の手を借りることも考えていいと思います。

     

     

    10. 面接こそ最終関門──志望校に合わせた個別対策がカギ

     

     

    総合型選抜において最後に待ち構えているのが「面接」です。ここでは、受験生の人物像、医療への熱意、医師としての適性などが詳細に問われます。
    「なぜ医師を目指すのか」「なぜ本学を志望するのか」といった基本的な質問に加えて、その大学の総合型選抜(AO入試)特有の質問についても問われますので、

     

    しっかりと準備した答えが求められます。

     

    また、個人面接だけでなく、グループ討論やMMIもあります。

     

    したがって、過去の質問例や大学ごとの面接傾向を踏まえた個別対策が必須です。
    模擬面接を繰り返し行い、「自分が満足する答え」ではなく、「大学が満足する答え」を準備してください。
    この時に大切なことは「医学部だからこう答えればいいだろう」という想像での面接指導ではなく、

    医学部関係者と密に会って、「医学部の本音」を分かっている人の面接指導を受けることです。「医学部が求めている面接での答え」を準備することが可能になります。

     

     

     

    11. まとめ:医学部AO入試に挑むなら「学力+対策」で万全に

     

     

    医学部の総合型選抜は、「一般入試ほどの学力試験が無いから楽」と思われがちですが、実際には学力試験・能力試験の成績は重要です。ただ、一般選抜とは異なる出題となりますので、「一般選抜の学力試験は厳しい」受験生でも十分に合格するチャンスはあります。
    合格するためには、「学力」「思考力」「判断力」「表現力」「人間性」のすべてをバランス良く備え、かつ、それを試験本番で発揮できるように

    準備することが求められます。
    「AO=楽勝」の神話に騙されず、正しい方向で努力すれば、総合型選抜でも医学部への道は開けます。そして、そのためには一人で抱え込まず、

    専門家の力を借りることも考えると、医学部合格は現実的なものになって行くでしょう。。