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- 2025.04.21
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医学部受験、歯学部受験で評定平均を気にしなくていい理由
この記事の目次
1.はじめに
医学部受験、歯学部受験を控える高校生や保護者の皆さんにとって、評定平均(内申点)は一つの大きな関心事です。私立医学部や私立歯学部を志望する受験生にとって、推薦入試の出願条件として評定平均が設定されている場合、その数値に一喜一憂することも少なくありません。しかし実際のところ、評定平均は合否にどの程度影響を与えるのでしょうか?ここでは、医学部や歯学部の本音と全国の高校の現状を踏まえ、私立医学部受験・歯学部受験における評定平均の本当の位置づけについて解説します。
2.全国の高校の多様性と大学側の認識
現在、日本には4,791校の高等学校があります。その中には、東京大学や京都大学、早稲田大学、慶応義塾大学などの難関大学に多数の合格者を出す進学校もあれば、生徒のほとんどが大学進学を希望しない高校も存在します。地域、設置母体、教育方針、生徒の層など、学校ごとに状況は大きく異なります。
このような状況下で、大学が全国すべての高校の評定基準や学力水準を把握することは不可能です。たとえば、ある高校では平均評定4.0を取ることが非常に難しいのに対し、別の高校では比較的容易にその水準に到達できる場合もあります。つまり、評定平均の数値そのものが、学力や学習意欲を必ずしも正確に反映しているわけではないのです。
3.評定平均の役割と実態
評定平均とは、いわゆる通知表における全教科の評定の平均点です。一般的には5段階評価で行われ、高い評定を得るには、定期テストの点数だけでなく、提出物、授業態度、発表、出席状況なども含めて総合的に評価されます。
したがって、評定平均は学力だけではなく、生活態度や協調性、努力の継続性なども加味された結果です。これは決して悪いことではありませんが、大学側から見れば、主観的要素が強く、一律の基準で判断できないという側面があります。また、以前は「成績上位5%に、5を付ける」といった基準がありましたが現在、成績評価の基準はそれぞれの高校の判断となっています。
高校によって付け方が違いますので「辛い高校、甘い高校」が存在します。
4.私立医学部・歯学部推薦入試における評定平均の扱い
私立医学部や歯学部の推薦入試(学校推薦型選抜)では、出願条件として評定平均3.8以上や4.0以上などを設定している大学が多く存在します。これは、ある程度の学力や学習態度を担保するための「足切り」のような意味合いがあります。しかし、いったんその条件をクリアすれば、実際の選考において評定平均が大きな評価対象になることはありません。医学部や歯学部としては、評定平均の基準をクリアしていれば、「とりあえず高校生活は真面目に行っただろう」と判断できるわけです。とは言え、「評定平均が高いほど有利」ということではありません。
なぜなら、大学側は各高校によって学力面での生徒の質が違うこと、各高校の評定の付け方に一貫性がないことを認識しているからです。評定平均はあくまで「出願可能かどうか」の基準にすぎず、実際の入学者選抜では小論文、面接、大学独自の学力試験など、大学が独自に設けた試験によって総合的に判断されるのが一般的です。
評定平均がよくなかったり、特定の科目の成績が低かった場合、その点について面接で質問されることはあります。しかし、そこでしっかりと理由や改善への努力を説明できれば、特に不利になることはありません。重要なのは、誠実な姿勢と成長意欲を示すことです。
5.大学が重視するものとは
私立医学部推薦入試・私立歯学部推薦入試において大学が本当に重視するのは、評定平均ではなく、その大学が実施する試験の結果です。具体的には、
・ 大学が行う学力などを計る筆記試験の得点
・ 小論文や志望理由書の内容
・ 面接での受け答えから見える人間性、意欲
などが合否を左右する重要な要素です。
医学部生、歯学部生としてふさわしい意欲や人間性を持った人物か、医師や歯科医師という職業にふさわしい人間性やコミュニケーション力、将来の展望なども面接を通して評価されます。これらは評定平均だけでは測れない部分であり、大学側としても自らの目で確かめたいという思いが強いのです。
なお、一般選抜(いわゆる一般入試)では、評定平均は一切関係ありません。試験の得点のみで判断されるため、学校での成績に不安がある受験生も、しっかりと学力試験対策をすれば十分に勝機があります。
現役生の時は成績が振るわなく評定平均が低い受験生でも、浪人して飛躍的に成績が伸びる受験生は珍しくありません。評定平均は、あくまで高校時代の評価であって高校卒業後のことは含まれていません。浪人生や再受験生の多い一般選抜(一般入試では、「評定平均は使えない」ことになります。
現役生でも同じようなことが言えます。
現役生の評定平均は「3年1学期までの評定」になります。3年の2学期(後期)以降の頑張りは含まれていません。医学部受験でも歯学部受験でも、一般選抜は1月以降になります。現役生も浪人生と同じように「一般選抜では使えない」ものになります。
6.評定平均を気にしすぎないために
評定平均が医学部推薦入試、歯学部推薦入試の出願資格として必要であることは確かですが、その数値にこだわりすぎてしまうのは本末転倒です。むしろ、大学が実施する試験に向けての対策に集中するべきです。具体的には、
・ 学力試験に向けた勉強
・ 志望理由書のブラッシュアップ
・ 医療系の時事問題に対する知識
・ 小論文のトレーニング
・ 面接練習
などに力を注ぐことで、合格の可能性は確実に高まります。
評定平均を上げるために無理に得意でない科目に時間を割きすぎて、受験に必要な科目の勉強が疎かになるといった状況は避けるべきです。戦略的に時間とエネルギーを使いましょう。
7.医学部受験、歯学部受験で調査書は、どう使われる?
医学部受験、歯学部受験では「評定平均は出願資格で使われることはあっても、合否に大きく影響することは無い」、ことを説明してきました。
では、評定平均が記された調査書は、実際の医学部入試、歯学部入試ではどのように使われるのでしょうか?
調査書の「所見」に高校の先生は受験生に不利になるようなことは書かず、いいことだけを書きます。大学も、そのことは十分に分かっているので先生の主観で書かれた部分は見ません。
評定(成績)も見ないのであれば、調査書は見ていないのでしょうか?
見ています。
医学部も歯学部も調査書で見るところはたった1つ、「欠席日数」だけです。
欠席日数に先生の主観は入りません。高校によって考え方が違う、ということもありません。「遅刻2回で欠席1回」というのは、校内ルールで、文部科学省指定の公式な調査書には反映されません。
ただ、欠席日数だけは大学は気にします。欠席日数が多いということは「体力的あるいは精神的に弱いのか?」、「サボり癖があるのか?」などを考えてしまい、「入学させても大丈夫なのか?」と余計な心配をすることになります。
ですから高校生の皆さんは欠席には注意してください。なお、早退は欠席にはなりません。
8.まとめ
全国にある4,791の高校には、それぞれに異なる教育方針や評定の基準があります。
そのため、大学側は評定平均の数値そのものを過信せず、自分たちの目で受験生を評価する方針を取っています。私立医学部や歯学部を目指すのであれば、評定平均を必要以上に気にするのではなく、出願条件を満たした上で、大学が本当に重視するポイント、学力試験、小論文、面接、出願書類に集中して対策を行うことが何よりも大切です。
評定平均はあくまで通過点。真の勝負は、その先にあるのです。医学部や歯学部の志望校に合格するために、「自分は何をやればいいのか」をしっかりと考えて下さい。