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  • チャンスは大きい、私立医学部総合型選抜(AO入試)実施校と合格のポイント

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合格請負人田尻が大学ごとの入試対策から最新の私立医学部・歯学部の動向までを日々配信中

この記事の目次

     

     

    1.はじめに

     

     

     

    近年、医学部入試においても多様な選抜方式が導入されており、その中でも**総合型選抜(旧AO入試)**が注目を集めています。これは、単に学力だけでなく、医師としての志や資質、人間性、将来のビジョンなども重視する入試形式であり、学力試験以外の要素も含めて医学部入学者を選抜します。学力に自信が持てない医学部志望者にもチャンスがあります。実際にメルオンでは、偏差値40台からの合格者も出ています。本稿では、私立医学部における総合型選抜の現状と、合格のための具体的な対策を解説します。

     

     

    2.総合型選抜とは

     

     

     

    総合型選抜(AO入試)は、学力試験中心の一般入試とは異なり、以下のような要素を通じて受験生の人物や将来性を総合的に評価する方式です。

     

    ・ 志望理由書や自己推薦書
    ・ 課題論文またはレポート提出
    ・ 面接(個別・グループ面接・グループ討論)
    ・ 探究活動や課外活動の成果
    ・ 高校での学業成績(評定平均)

     

    医学部を除く大学では学力ではなく、これまでの経験や可能性を重視する傾向にあり
    ますが、医学部における総合型選抜(AO入試)は、学力を含めた能力に加え、受験
    生の将来の医師像や医療への使命感を問う、受験生本人の意欲、意識も問われる
    医学部入試です。

     

     

    3.私立医学部における総合型選抜(AO入試)の実施状況

     

     

    3-1. 総合型選抜(AO入試)を実施している私立医学部一覧(2025年度)

     

    2025年度時点で、以下の私立医学部が総合型選抜(AO入試)を実施しています(※年度によって変更があるため、最新情報は各大学の募集要項を確認してください)。

     

    (合格実績ではなく進学実績ですから、1名につき1校となります)

    大学名

    総合型選抜実施

    特徴

    東北医科薬科大学 東北地域定着枠 20名
    獨協医科大学 再受験生限定  3名以内
    帝京大学 1浪まで 併願可 10名
    東邦大学 1浪まで 約10名
    岩手医科大学 2浪まで 8名程度
    東海大学 現役のみ 併願可 10名
    金沢医科大学 25歳以下 合計24名 新潟枠も
    藤田医科大学 1浪まで 2種類の総合型選抜
    兵庫医科大学 1浪まで 一般枠と卒業生枠で8名
    川崎医科大学 4浪まで 約5名
    産業医科大学 2浪まで 10名以内

     

     

    3-2. 総合型選抜(AO入試)の選考形式と特徴

     

    私立医学部の総合型選抜(AO入試)では、大学ごとに独自の選考方式がとられています。多くの医学部総合型選抜(AO入試)で見られるのは以下の項目です:

    ・ 事前提出書類(志望理由書、自己推薦書、活動報告書など)
    ・ 面接、個人またはグループ面接やグループ討論
    ・ 探究活動のプレゼンテーション
    ・ 医療系テーマの小論文
    ・ 学力を含めた能力を計る試験

     

     

    4.私立医学部総合型選抜(AO入試)・合格のためのポイント

     

     

    4-1. 志望理由書と自己推薦書の書き方

     

    医学部の総合型選抜(AO入試)では、志望理由書が非常に重要です。ただ「医師になりたい」というだけでなく、なぜそう思うに至ったか、具体的な原体験や活動内容と絡めて論理的に記述することが求められます。
    ポイントは以下の通りです:

     

    ・ 医師を志すに至った具体的な体験、時期(病気、ボランティア、家族の医療体験、テレビ、本、講演など)
    ・ 医療従事者としての将来像と志、高い意欲
    ・ その大学で学びたい理由(教育方針、カリキュラム、研究活動などとの一致)
    ・ 医学を通じて何を社会に還元したいか

     

    なお、金沢医科大学総合型選抜では自己推薦書と第三者による推薦書が必要となります。求められている内容をきちんと理解し、医学部教員へアピールできるものを書いてください。自己推薦書は60点もの配点があり、表面的な話ではなく「よくここまで調べたな」と思わすことの出来る内容のものを書いてください。合否に直結します。

     

    4-2. 面接で見られる視点と対応策

     

    私立医学部の面接では、学力同様に人間性と適性が問われます。よくある質問例として:

    ・ 医師として最も大切だと思う資質は?
    ・ チーム医療におけるあなたの役割は?
    ・ 最近気になった医療ニュースとそれについての意見
    ・ 高校時代に困難だった経験と、どう乗り越えたか
    ・ 医師を目指す理由と医師として将来やりたいこと
    ・ 自分は医師に向いているか?どのような点が?足りない面は?

     

    評価されるのは、コミュニケーション力、倫理観、使命感、論理的思考力など。事前に模擬面接を繰り返して準備しましょう。
    この時大切なのは、「医学部の本音が分かっている人」の面接指導を受けることです。「医学部の面接は何のために行うのか?」と聞いた際に、「将来、良き医師になる人材かを見極めるため」と答えるような指導者では、心もとないものがあります。日頃から医学部関係者と接触して「医学部の面接官は、どういった答えを期待しているのか」、「きれいごとではなく本音は、どこにあるのか」を分かっている人に指導してもらえると的確な準備が出来ます。

     

    4-3. 小論文対策

     

    小論文では「医療の在り方」「高齢化社会と医療」「生命倫理」といったテーマが多くなります。主張を裏付ける根拠を持ち、感情論だけでなく客観的な視点を盛り込むことが重要です。
    私立医学部総合型選抜(AO入試)の受験校が決まったら、志望校の総合型選抜小論文の過去問を解いて、感覚をつかんでください。何より大切なのは「制限時間内で書き上げる」ことです。求められている字数を満たしていなければ「採点対象外」とされてしまう可能性もあります。

     

    4-4. 調査書と探究活動・課外活動の評価

     

    私立医学部の総合型選抜(AO入試)では評定平均を出願条件にしている大学は多くありませんが、あまり評定が悪いと面接で苦しくなりますので極端なことは避けた方がいいでしょう。高校での活動や探究学習も重要視されます。「何事にも全力」という受験生は好まれます。

    有利になる活動例:

    ・ 医療・福祉系ボランティア
    ・ 医療探究や科学研究活動(ポスター発表など)
    ・ 医療系セミナー参加歴や読書感想レポート
    ボランティアは、「時間があれば」でよく、「絶対にやった方がいい」ということはありません。やるなら、志望校の付属病院でのボランティアをおススメします。

     

     

    5.志望大学ごとの選抜傾向と対策

     

     

    大学によって試験内容が異なるため、対策も変わります。
    例えば東北医科薬科大学医学部の総合型選抜は「東北地域定着枠」になりますので、学力の他に「東北の医療」に対する理解が不可欠です。帝京大学医学部や東海大学医学部の総合型選抜では、独特のグループ討論が行われます。東海大学医学部の希望の星育成入試では、「オブザベーション評価」が行われます。オブザベーション評価で、11名受験で10名を合格させたメルオンのような私立医学部総合型選抜に詳しい予備校に頼るのもいいでしょう。
    私立医学部総合型選抜で合格する第一歩は、「志望校の試験内容を知る」ことです。
    オープンキャンパスなどを利用して、具体的な試験内容を把握してください。もちろん、予備校に頼るのもいいと思います。

     

     

    6.おわりに

     

     

    私立医学部の総合型選抜は、単なる学力勝負ではなく、「医師としての資質」を多面的に問う入試です。高校生活を通して築いてきた経験や価値観が評価されるため、受験生一人ひとりにとってチャンスとなり得る入試方式です。
    受験対策としては、早期の志望校決定と自己分析、課外活動の積極的参加、そして的確な対策が重要です。学力の充実に加え自分のストーリーを作り上げ、確かな言葉で表現できるように準備していきましょう。