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プロが教える!!歯学部の推薦入試どこを受けたらいい?大学別に徹底解説

この記事の目次

    1.私立歯学部受験は「推薦入試」が本番入試

     

    私立歯学部志望者の多くが、歯学部の推薦入試(学校推薦型選抜)の受験を考えるでしょう。

    現在の歯学部受験は一般選抜(一般入試)ではなく、推薦入試(学校推薦型選抜)が「本番入試」と言っていい状況です。

    17ある私立歯学部では16歯学部で推薦入試(学校推薦型選抜)を実施していて、私立歯学部で推薦入試(学校推薦型選抜)を実施していないのは鶴見大学歯学部だけです。鶴見大学歯学部を第一志望とする受験生でなければ、歯学部推薦入試(学校推薦型選抜)の受験を考えるでしょう。

    また、大阪歯科大学の推薦入試(学校推薦型選抜)は、合格しても入学を辞退することが可能ですので、鶴見大学歯学部を第一志望と考える受験生も受けやすいでしょう。

    このように、現在の私立歯学部入試の「本番入試」は、「推薦入試(学校推薦型選抜)」と言っていい状況です。

     

     

    2.私立歯学部推薦入試を考える際の3つのポイント

     

    鶴見大学歯学部を除く16の私立歯学部が推薦入試を実施していますが、一口に「推薦入試(学校推薦型選抜)」と言っても、「受験資格」、「募集人員」、「試験内容」は大学によって様々です。私立歯学部の推薦入試(学校推薦型選抜)の受験を考える際には、大学ごとに推薦入試の内容を知ることから始まります。そして、その上で受験校を決めてください。

     

     

    2-1.私立歯学部推薦入試の「受験資格」は2つある

     

    私立歯学部の推薦入試(学校推薦型選抜)を考える際、一番最初に考えなければならないのは、「自分は、その大学を受験することが出来るか?」、という「受験資格の確認」です。

    受験資格には、「現役・浪人」での資格制限と「評定平均値」での資格制限の2つがあります。

     

    (1)現役・浪人での受験資格、現役のみは5校

     

    受験資格が「現役のみ」の大学は明海大学歯学部、日本大学松戸歯学部、昭和大学歯学部(公募制)、日本歯科大学生命歯学部、東京歯科大学(指定校制)、の5校です。受験資格が「1浪まで」の歯学部は、昭和大学歯学部(卒業生推薦)、東京歯科大学(公募制)、愛知学院大学歯学部、神奈川歯科大学、朝日大学歯学部、日本大学歯学部、日本歯科大学新潟生命歯学部、大阪歯科大学、福岡歯科大学、の9校となっています。

    受験資格が「2浪まで」の歯学部は、岩手医科大学歯学部と奥羽大学歯学部の2校で、受験資格に年齢等の制限がないのは北海道医療大学歯学部と松本歯科大学の2校です。

    このように、私立歯学部の推薦入試は現役や浪人といった要件で、受験資格が制限される大学もありますので、まず「自分は受けることが出来るのか」を確認してください。

     

    (2)評定平均での受験資格は3校で

     

    私立歯学部推薦入試(学校推薦型選抜)には、評定平均値での資格制限もあります。

    「評定平均値」での受験資格制限は3校の歯学部であり、神奈川歯科大学が「評定平均3.3以上」としています。また、愛知学院大学歯学部の推薦入試、公募A推薦でも「評定平均3.3以上」となっており、朝日大学歯学部は「評定平均3.0以上」としています。私立歯学部の推薦入試で、評定平均値での受験資格制限があるのは3校だけですので、ほとんどの歯学部受験生は評定平均を気にしなくていいでしょう。

    なお、私立歯学部の推薦入試には、「公募制」と「指定校制」があります。指定校制推薦入試は、在籍する高校が大学歯学部の指定校になっている必要があります。私立歯学部で指定校推薦入試を行っている大学は東京歯科大学、日本歯科大学生命歯学部、日本大学松戸歯学部、愛知学院大学歯学部、北海道医療大学歯学部、岩手医科大学歯学部、明海大学歯学部、昭和大学歯学部、神奈川歯科大学、松本歯科大学、大阪歯科大学、福岡歯科大学の12校です。自分の高校が指定校になっているのかは、高校に聞いて確認してください。

     

     

    2-2.募集人員と合格者数にも注意が必要

     

    私立歯学部推薦入試で注意してほしい点として。「募集人員」もあります。

    私立歯学部推薦入試(学校推薦型選抜)の募集人員は、3名から約50名まで、本当に様々です。推薦入試の募集人員が少ない歯学部は、3名の日本大学松戸歯学部(公募制)、松本歯科大学の2校で、募集人員5名は明海大学歯学部、岩手医科大学歯学部、奥羽大学歯学部の3校です

    私立歯学部の推薦入試で募集人員が多い大学としては東京歯科大学の推薦入試の募集人員が「約50名」、日本歯科大学生命歯学部推薦入試の募集人員は「約40名」、大阪歯科大学推薦入試の募集人員も「約40名」、愛知学院大学歯学部の推薦入試の募集人員は公募Aと指定校をあわせて45名、昭和大学歯学部推薦入試の募集人員は34名となっており、私立歯学部人気校の推薦入試の募集人員が多くなっています。

    もう一点、注目してもらいたいのは、「合格者数」です。

    2023年度入試の東京歯科大学推薦入試は、募集人員約50名に対し合格者は64名でした。日本歯科大学生命歯学部の推薦入試は、募集人員約40名に対し合格者は、東京歯科大学と同じ64名でした。大阪歯科大学推薦入試は、募集人員45名に対し合格者は62名でした。

    このように、私立歯学部の推薦入試(学校推薦型選抜)では募集人員を超えて合格者を出す傾向がありますので倍率などを考える際に、この点にも注意してください。

     

     

    2-3.私立歯学部推薦入試の試験内容

     

    私立歯学部推薦入試(学校推薦型選抜)は、大学によって試験内容も様々です。

    大きく、学力テストを行う大学と学力テストを行わない大学に分けることが出来ます。

    学力試験を行わない大学には、岩手医科大学歯学部、奥羽大学歯学部、明海大学歯学部、愛知学院大学歯学部、福岡歯科大学があります。学力試験はありませんが、小論文と面接が課されます。

    残る12の私立歯学部推薦入試では、学力試験が行われます。とは言え、学力試験の試験科目は大学によって様々ですが、多くの歯学部推薦入試では英語が課されます。私立歯学部の推薦入試では英語を避けることは出来ないことはありませんが、そうすると受験校は限られてしまいます。日本大学歯学部の推薦入試では「適性試験」が行われますが、その中には英語もあります。

     

    (1)東京歯科大学、大阪歯科大学と日本歯科大学の試験内容

     

    東京歯科大学や大阪歯科大学の推薦入試学力試験の試験科目は英語、数学、理科1科目で、一般選抜と同じ試験科目になります。こういった試験科目であれば推薦入試のための勉強は一般選抜のための勉強と重なります。万一、推薦入試で合格出来なかったとしてもスムーズに一般選抜の勉強に進めます。

    日本歯科大学生命歯学部、新潟生命歯学部の推薦入試では英語のみの試験となります。

    英語に自信のある受験生ならチャンスは大きくなります。

    ただ、日本歯科大学の推薦入試に向けて英語に力を入れて勉強を進めていると万一、推薦入試が上手く行かなかった場合、一般選抜に向けて数学や理科の勉強が遅れてしまう恐れがあります。このあたりの「勉強のバランス」を考えながら推薦入試に向かって勉強を進める必要があります。

     

    (2)昭和大学歯学部の試験科目は特殊

     

    試験科目が特殊な歯学部推薦入試として昭和大学歯学部の推薦入試が挙げられます

    昭和大学歯学部の推薦入試(学校推薦型選抜)の試験科目は英語、数学または国語、理科基礎2科目です。英語は必須ですが、数学は国語に代えることも出来ます。数学より国語の方が得意な受験生は国語を選択することが出来ます。なお、国語は現代文になります。私立歯学部入試の理科は1科目が基本で、昭和大学歯学部一般選抜も理科は1科目です。ところが私立歯学部入試で唯一、昭和大学歯学部推薦入試だけが基礎科目とは言え、理科2科目となります。これは歯学部受験生にとっては負担が大きいでしょう。どうしても「理科2科目」は受験生から敬遠されがちで、人気校でありながら昭和大学歯学部の推薦入試(学校推薦型選抜)の志願者は、多くはなりません。

    私立歯学部の推薦入試(学校推薦型選抜)を考える際には試験科目を調べ、自分にあった試験科目なのかを考えてください。

     

    3.私立歯学部推薦入試に向けての勉強の進め方

     

    過去問は「どれくらい解けるか」ではない

    試験科目を調べ、受験資格も満たしていることを確認したら具体的に推薦入試に向けた勉強のスタートです。過去問があれば、まず過去問をサッとでも解いてみてください。ここで大切なのは、「どれくらい解けるか?」ではありません。「この過去問で合格点を取るためには、どういった勉強を進めていけばいいのか」を知ることです。推薦入試の合格最低点を公表している大学なら、「合格最低点を超えるための勉強の進め方」です。推薦入試の合格最低点を公表していない歯学部の場合、「7割」を考えてください。私立歯学部推薦入試では「7割」取れれば問題ないでしょう。

     

    3-1.どこまでやればいいのか?

     

    私立歯学部受験生の勉強を見ると、必要以上に難しいことをやる傾向にあります。適切な勉強とは言えない効率の悪い勉強です。これは、高校や塾・予備校の先生が私立歯学部入試を知らないことが大きな原因となっています。教える先生が「私立歯学部受験生は、どこまでやればいいのか」を分かっていないために、必要以上のことまでやってしまうようです。

    先生としては、「教えてくれなかった」ということは避けたいので、必要のないことまでやってしまうことになります。

    私立歯学部志望者は少ないため、多くの先生にとっては、「よく分からない」のも仕方ないことかもしれません。そうであれば、受験生本人が「どこまでやればいいのか」を分かっておきたいところです。そのためにも、過去問はぜひ見ておいてください。

     

    3-2.過去問が無い場合は、どうしたらいい?

     

    ここで困った問題が一つあります。

    それは、「過去問が公表されていない」場合です。東京歯科大学、日本歯科大学、日本大学歯学部などでは推薦入試の過去問を公表していません。オープンキャンパスの入試問題解説でも「こんな感じ」でとどまり、具体的な出題内容を把握することは出来ません

    では、過去問のない大学の推薦入試対策はどうすればいいのでしょうか?

    まずは塾・予備校に聞いてみるといいでしょう。とは言え、「どこの塾・予備校でも答えてくれる」、というわけではありません。分かっていても答えてくれないかもしれませんが、まずは聞いてみてください。

    ちなみに、メルオンでは東京歯科大学推薦入試や日本歯科大学推薦入試の合格者からの報告をもとに、「予想問題」、「再現問題」を作成して希望される方には差し上げています。すべての科目ではありませんが、一般選抜と傾向が異なる科目を作成しています。ご希望される場合は、メルオンのホームページのお問い合わせページから「○○大学歯学部予想問題希望」とお申込みください。

    実際に東京歯科大学推薦入試や日本歯科大学推薦入試を受験した生徒たちからの「こういう問題が出た」という報告があれば、過去問が公表されていなくてもほぼ完璧に把握することが出来ます

     

     

    4.私立歯学部推薦入試では、小論文と面接は避けられない

     

    私立歯学部の推薦入試では小論文と面接の準備は欠かせません。私立歯学部推薦入試ではすべての大学で面接が行われます。小論文は、北海道医療大学歯学部と日本歯科大学生命歯学部を除く14歯学部で行われます。

    ある程度、受験校が決まっているなら小論文も面接も「受験校の小論文」、「受験校の面接」を意識して準備を進めてください。「受験校を絞り切れていない」のであれば、「私立歯学部の小論文」、「私立歯学部の面接」の準備を進めてください。具体的な受験校が決まったら、その大学の小論文、面接に合わせた対策に切り替えてください。

     

    4-1.歯学部の小論文で本当に大切なこと

     

    小論文は高校ではやらないことが多いので、早めに準備を始めるといいでしょう。実際の私立歯学部入試では、「小論文が素晴らしいから合格」ということは期待しないでください。

    素晴らしい小論文を書くことより、「落とされない小論文」を書けるようにすることが大切です。「小論文が素晴らしいから合格」は無くても、「小論文が書けなくて不合格」はあります。私立歯学部の小論文は、なんといっても書き慣れることが重要です。書き慣れることで、実際の私立歯学部推薦入試の場で、どのような課題が出題されても落ち着いて小論文を書くことが出来ます。

    私立歯学部の小論文対策として「歯科関連の知識を入れる」ことはいいのですが、小論文対策の目標は、「知らないことでも書ける」です。実際の入試では「学んだことの中から出る」とは限りません。「何が出ても、制限字数は間違いなく書ける」ことが何より重要で、ここに向かって小論文の勉強を進めてください。そのためには、「早めから手を付け、書き慣れる」ことです。

     

    4-2.歯学部の面接が合否に直接、影響する理由

     

    私立歯学部の推薦入試の面接は、基本的に個人面接が行われます。歯学部の面接で最も重要で合否に大きく影響するのは、「受験生本人が、本気で歯科医師になろうと考えているのか?」です。

    現在の私立歯学部では留年者も多いのですが、留年する一番の原因が「本気で勉強しない」です。歯学部の教員が、どのような素晴らしい授業を行ったとしても、学生にやる気がなければ上手く行きません。大学としても、留年者が多いと国からの補助金が削減されるので、歯学部入学後、ちゃんと勉強する受験生だけを入れたいと考えます。

    私立歯学部推薦入試の面接では、「自分自身が歯科医師になりたいと思っている」ことを面接官に伝えることが出来るかどうかが合否に直接影響しますので、万全の準備を進めてください。出来れば、私立歯学部の面接に詳しい人に指導してもらうといいでしょう。ここで言う「私立歯学部の面接に詳しい人」とは、表面的な話ではなく「私立歯学部面接の、面接官の本音を分かっている人」です。

    面接対策に多くの時間を掛ける必要はありませんが、やらないわけにも行きません。私立歯学部推薦入試の面接対策も忘れずに行ってください。

    具体的な質問として、日本歯科大学生命歯学部では「なぜ、推薦入試を受けようと思ったのか?」東京歯科大学では、「部活のことを相談するのは誰だった?」大阪歯科大学では、「今までで一番つらかったこと。一番腹の立ったこと」などが聞かれています。答えられない質問ではありませんが、急に聞かれると答えがすぐに出てこなかったりします。

    やはり、慣れが重要です。

     

     

    5.まとめ、「私立歯学部推薦入試に合格するために」

     

    私立歯学部推薦入試は歯学部受験の「本番入試」です。受験資格、募集人員、試験内容を確認して受験校を決めたら、まず過去問に触れてください。そして、過去問で合格点を取るための勉強の進め方、スケジュールを考えてください。

    また、小論文と面接も忘れずに準備を進めてください。

    抜かりない私立歯学部推薦入試対策で、志望校合格は間違いないものとなるでしょう。