国公立医学部受験 入試情報

メリオン独自のリサーチに基づく国公立医学部入試に関する情報を大学・科目・入試別にそれぞれご案内しています。

国公立医学部受験 入試情報

1.国公立医学部受験の流れ

 

国公立大学医学部受験は、総合型選抜(AO入試)、学校推薦型選抜(推薦入試)、一般選抜前期、一般選抜後期という順番で試験が行われます。
このうち、最も募集人員が多いのは一般選抜前期で、医学部入学定員の6割以上が一般選抜前期に振り向けられています。
なお、一般選抜は共通テストと各大学での2次試験で合否が判定されます。

 

一般選抜には後期もありますが、後期を行わない医学部が増えてきています。
国公立医学部50校中、後期を行うのは約3割、16校だけです。
その結果、国公立医学部一般選抜は、「前期一発勝負」という様相が強まっています。

 

また、国公立医学部一般選抜では「足切り」と言われる2段階選抜があります。
共通テストの得点で各大学が2次試験受験者を絞りこむ場合がありますので、志望校で2段階選抜を行うのか、行うとしたらどういった内容なのかは事前に把握しておく必要があります。

 

2.国公立医学部受験は、まず共通テスト

 

国公立医学部一般選抜は、1月に共通テストを受けることから始まります。
国公立医学部受験の「本番」とも言われる一般選抜では、共通テストの得点が合否に大きく影響します。
共通テストでしっかり得点出来れば、共通テストの配点が高い大学なら「逃げ切り」を期待することも可能になります。

 

なお、国公立医学部の学校推薦型選抜や総合型選抜でも、共通テストの得点を合否判定に使用する大学が多く、一般選抜に限らず国公立大学医学部受験では共通テストは非常に重要になります。

 

3.共通テスト対策、いつからどうやる?

 

国公立医学部受験では、共通テストは、原則、英語、数学、理科、国語、地歴公民の5教科7科目を受験する必要があります。
このうち、医学部受験生を悩ませるのが、国語と地歴公民です。
まず「地歴公民でどの科目を選択するか」からしっかり考える必要があります。
地歴公民には「2単位科目」「4単位科目」があります。
4単位科目を選択すれば、受験校で困ることはないのですが、2単位科目に比べ負担は大きくなります。
群馬大学大阪公立大学など2単位科目でも受験できる大学もありますので、よく考えて地歴公民の選択科目を決めてください。

 

また、国語と地歴公民に、どの時点から本格的に取り組むかも考えてください。
特に、私立医学部と併願を考えている場合、11月くらいに「国公立はやめて私立に絞る」となった場合、私立医学部にも共通テスト利用入試はありますが、基本的には、それまで国語や地歴公民に費やした時間は無駄になってしまいます。

4.配点を事前に調べておく

 

国公立医学部一般選抜は、共通テストの得点と各大学での2次試験(個別学力試験)の得点を合わせて合否が判定されます。
この時に重要なのが「配点」です。
志望校の共通テストと2次試験の配点割合、各科目の共通テストと2次試験の配点を事前に確認しておいてください。

 

また、2次試験の試験科目も確認が必要です。
名古屋大学京都大学のように、国語も出題される大学があります。
また、秋田大学徳島大学のように、理科の出題が無い大学もあります。
2次試験の試験科目は大学によって異なりますので注意してください。

 

実際の一般選抜の受験校は、共通テストの自己採点を見て決めることが多くなりますが、事前にいくつかの大学の試験科目と配点を知っておけばスムーズに受験校を決めることが出来ます。

 

5.問題の難易度と合格最低点

 

国公立医学部2次試験は、各大学ごとに行われます。
当然、大学ごとに問題そのものの難易度も異なります。
過去問を解いて「こんな難しい問題は無理」と思うかもしれませんが、自分だけが難しいと感じているわけではありません。
逆もあります。
「この大学の問題は解ける」と思っても、他の受験生も同じように感じているものです。

 

問題が難しければ、合格最低点は下がります。
問題が易しければ、合格最低点は上がります。
一般的に総合大学の問題に比べ単科大学である「医科大学」の問題は難しくなる傾向にあります。
問題の難易度に惑わされることなく、合格最低点が取れるか、どうやって合格最低点を取るか、を考えて下さい。

 

また、試験時間の確認も忘れないでください。

 

6.私立医学部との併願者は、12月の勉強が結果を左右する

 

国公立医学部専願の受験生は、12月は共通テスト対策の追い込みに入っている時期です。
しかし、国公立医学部と私立医学部の併願を考えている受験生にとって12月は難しい月になります。
共通テスト対策に力を入れるのか、私立医学部対策に力を入れるのか、難しい判断をしなければなりません。
現役生は数学Ⅲや理科も気になるでしょう。

 

「12月に何をやるか」これは、受験生一人ひとりが置かれた状況によって考えるしかありません。
11月に入った時点で12月の勉強内容を考えてください。
理科を後回しにする現役生は多いのですが、12月に理科にも時間を掛けなければならないと本当に「やることが多すぎる」ことになります。
4月以降、バランスよく勉強を進めることが大切です。

 

7.学校推薦型選抜と総合型選抜は拡大中

 

国公立医学部では、学校推薦型選抜(推薦入試)や総合型選抜(AO入試)が広がりを見せています。
国立大学医学部40校、公立大学7校の合計47校が医学部の推薦・AOを行っています。

 

学校推薦型選抜と総合型選抜の両方とも実施しない国公立医学部はわずか3校だけです。

 

国公立医学部の推薦入試やAO入試は、様々な名称で行われています。
まず、自分に受験資格があるのかを確認し、次に試験内容を確認してください。
出来れば、自分に合った試験を受験したいところです。

 

医学部の学校推薦型選抜には地域枠もあります。
特に地域枠はチャンスの大きい医学部入試となりますので、地域枠も含めて検討するといいでしょう。

英語の傾向と対策

国公立大学医学部の英語は、長文問題が主体になります。
とは言え、文法や語法などを軽視するわけにはいきません。
読解力は確かな文法力、語彙力が土台になります。
まずは、ここをしっかり固めてください。

 

「医学部の英語」といっても、特殊な医学系の単語まで覚える必要はありません。
そういった単語が使われる場合は、「注」が付くことが一般的です。

 

また、志望校の過去問を使って、長文そのものの難易度や量を事前に把握しておくといいでしょう。
そして、志望校の長文問題を解くための勉強をどう進めるかを考えてください。

 

国公立医学部の英語では英作文も手を抜けません。
英作文は、書いたら必ず先生に見ていただくことが重要です。
独りよがりの英文にならないように気を付けてください。

数学の傾向と対策

国公立2次試験の数学は難易度が上がりますし、記述式になります。
また、共通テストでは出ない数学Ⅲも出ます。
共通テストの数学と2次試験の数学とは大きく異なりますので、共通テスト対策と2次対策のバランスを上手く取ることが大切です。
国公立医学部の2次試験の数学では、数学Ⅲが多く出題されます。
数学Ⅲというと微積分をイメージしますが、受験生が苦手としがちな複素数平面や2次曲線も手を抜かないでください。

 

国公立医学部の数学は難問揃いですが、まずは定義を正確に覚えることと、定理や公式を導き方から理解することが欠かせません。
数学の基本ともいえることですが、ここがしっかりしていると、一見すると見たこともないような問題への対応力も付きます。

化学の傾向と対策

多くの国公立大学では、化学は理系学部共通の問題が出題されます。
医学部は別格の難しさですから、少しでも高得点を狙いたいところです。
医学部受験生は、理論化学に気を取られがちですが、有機化学、無機化学もバランスよく学習してください。
有機、無機で差をつけられては、医学部合格は覚束ないでしょう。

 

出題の中心となる理論分野では、酸塩基や酸化還元といった化学の反応の基本となる分野の深い理解が重要です。
有機化学の構造決定などの問題では「慣れ・経験」が欠かせません。
多くの類似問題に触れて「慣れ・経験」を重ねてください。

生物の傾向と対策

生物の勉強は覚えることが中心にはなりますが、国公立医学部の生物で合格点を取るためには、知識だけでは全く不十分です。
計算問題や実験考察問題を解くためには「覚えた知識を使いこなす力」が欠かせません。
これは、生物のどの問題にもいえることです。

 

ただ、複雑な問題を解くための土台は、基本的な知識です。
国公立医学部の生物は、身に着けた知識を総動員して与えられた問題に取り組むことになります。
知っていなければならない知識が欠けていれば、解けるはずの問題も解けません。
知識を確実なものとするためには、「問題を解く」ことです。
多くの問題を解きながら知識の確認をし、併せて知識の使い方、応用の仕方を深めてください。

物理の傾向と対策

国公立医学部受験では、多くの受験生が物理を選択してきます。
理系科目に自信のある受験生であれば、「生物ではなく物理」となります。
医学部受験は他の受験生との戦いになりますが、国公立医学部の物理は強敵揃いの戦いになります。
ここで勝ち抜くためには、演習量が欠かせません。
多くの問題を自分の手で解きながら、基本事項である用語や記号、公式の確認をし、さらに多様な問題を解くことで、与えられた条件から解答を導く応用力の養成を進めてください。
その際に、志望校の過去問演習は非常に重要になります。
過去問演習では単に解くだけでなく、試験時間内で最も高い得点とするための自分なりの作戦まで考えることも忘れないでください。

国語の傾向と対策

まず「志望校の2次試験で国語が出題されるのか」を確認してください。
一般的な国公立医学部受験では国語は共通テストで使うだけですが、東京大学京都大学など一部の国立大学医学部では2次試験でも国語が課されます。
2次試験の国語と共通テストの国語では大きな違いがありますので、「自分はどこまでやればいいのか」を確認してください。

 

2次試験の国語対策を進める際には、「古文、漢文の扱い」にも注意してください。
共通テストの国語では、漢文を軽視しないでください。
漢文は、現代文や古文に比べ最も確実に点数の取れる科目です。
医学部受験の国語では、漢文で確実に得点を重ねることが重要です。

 

現代文は「共通テストの現代文」の得点力を上げることを考えてください。

社会の傾向と対策

高校で履修する地歴公民(社会)には日本史B、世界史B、地理B、倫理・政経といった4単位科目と現代社会、倫理、政治・経済といった2単位科目があります。
国公立医学部受験では、地歴公民を4単位科目のみ選択可の大学が多いのですが、2単位科目の選択を認める大学も少なくありません。

 

ただ、大学によって選択可能な科目が様々ですのでよく確認してください。
例えば、筑波大学奈良県立医科大学長崎大学などは4単位科目の他に現代社会、倫理、政経も選択できます。
三重大学琉球大学では、4単位科目の他に現代社会も選択可能です。
弘前大学群馬大学名古屋市立大学大阪公立大学宮崎大学では日本史AなどのA科目も含め、地歴公民全科目が選択可能です。

面接の傾向と対策

国公立医学部を目指す受験生の中には、「国公立は学科試験で決まり」と考えている受験生が少なくないようです。
しかし、国公立医学部の入試要項をよく読むと面接のところに「面接試験で不適格と判断された場合は学力試験の成績によらず不合格とする」といったようなことが注意書きとして書かれていることが多くあります。

 

医学部受験の現状は「優秀な受験生が押しかけている」状況です。
医学部にとって、「入れたくない受験生」を無理に入れるような状況ではありません。
面接官は合格させると6年間は面倒を見なければなりません。
医学部教員として「面倒を見てもいい受験生か?」が問われています。
少なくとも「この受験生はやめておこう」とならないように、きっちりとした準備が必要です。
指導を受けるなら「医学部面接の指導経験が豊富」は意味がありません。
「医学部教員の本音を知っている」ことが重要ですので、そこが分かっている人に指導してもらうといいでしょう。

小論文の傾向と対策

国公立医学部全てで小論文が出題されているわけではありませんが、小論文が出題される大学でははっきりと配点が付く場合がほとんどです。
配点がつくわけですから、小論文が出題される大学を受験する予定であれば、準備は欠かせません。

 

国公立医学部受験の小論文は、大きく「テーマ型」「課題文型」「英文課題文型」に分けられますが、小論文ですから、どの型であっても最終的に「自分の考え・意見」を書くことになります。
採点者は受験生が書いた「自分の考え・意見」を読んで評価することになります。
ここが重要なポイントです。
「自分ではない他の誰かが、自分の書いたものを読む」ことを意識してください。
採点者が「読みやすい」ことが高い評価を得る第一歩です。
第三者が、すっと読める文章を意識して書くようにしてください。

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