東京慈恵会医科大学医学部 一般選抜

メリオン独自のリサーチに基づく東京慈恵会医科大学医学部 一般選抜入試に関する情報をそれぞれご案内しています。

東京慈恵会医科大学医学部 一般選抜

難易度・レベル(メルオンスコア)

2022年度東京慈恵会医科大学医学部一般選抜の志願者は、前年より158名(9.3%)の増加となった。
前年は、大阪医科薬科大学と1次試験重複があったが2022年度では試験日重複が解消されたことが志願者増の大きな要因である。

 

1次試験日は私立医学部前期の最終盤になるので、東京慈恵会医科大学の前に受験した私立医学部受験の経験を活かしたい。
既に他の医学部で出題された問題と似た問題が出ても不思議ではない。

 

正規合格者数は172名で、例年160名から170名程度である。
補欠者(繰り上げ合格候補者)には、補欠順位が付き順次繰り上げ合格となるが、ここ2年の繰り上げ合格者は70名程度と少ない。

スコア 当年総合格者数 前年総合格者数
SSS 251名 238名
当年合格実質倍率/当年合格最低点 前年合格実質倍率/前年合格最低点
6.8倍/51.80% 6.2倍/50.50%

英語の傾向と対策

時間60分、大問3題。

 

2021年度は2020年度同様、長文読解問題が3題出題されている。
語彙はハイレベルで、研究論文から出題されることも多い。
難易度は総じて高いといえる。

 

過去に出題された長文のテーマは「天然痘予防法の確立」「医療現場における日光の重要性」「学習における知識習得に有効な間違え方」「癌の転移のメカニズム」「終末期医療における緩和ケアの効果」「ギャンブラーの錯誤について」「精神的ストレスと心臓疾患の関係」「後天的要因による身体の変化」「リスクと不安について」など。

 

出題形式は空所補充問題、文脈に合った文を選択する内容一致問題。
記述問題については、2021年は英作文のみであった。
2020年には空所補充が出題されていたが、2021年では見られなかった。

 

2021年の英作文は、長文の内容を受けて「種痘の開発で知られるジェンナー博士の天然痘ワクチンの治験のやり方が倫理的に妥当か否か」を理由とともに記述するものであった。
問題文中に語数制限は明示されてはいないものの、B4判解答用紙に4本の線が引かれており、実質的にはこれが英作文の字数制限となっている。
簡潔に自分の意見を述べる事が求められ、受験生は難しく感じたかもしれない。

 

対策としては、語彙、文法や語法を身につけることは大前提となる。
特に語彙に関しては標準以上のレベルまで習得しておくことが望ましい。
その上で内容真偽問題を中心に読解演習を行う。
空所補充も頻出である。
受験生にとって紛らわしい選択肢がよく見られるので、類題を多く解くようにしよう。
英作文では、文法を正しく用いること、基本的な語彙をスペルミスのなく書けるようにすること。
その上で本学の英作文対策としては、日頃から演習等で扱う長文に対して自分の意見やその根拠をまとめるようにすると良い。

スコア 知識量 スピード 記述力 応用力
SS SS SS SSS SSS

数学の傾向と対策

数学は大問4題で制限時間90分。
積分と確率が頻出で、2017年から2022年まで毎年出題されている。

 

2022年は[1]2021年に引き続き確率、[2]は数学の微積分、[3]は整数問題、[4]は複素数平面と広範囲から出題されている。

 

確率の問題は例年、上位の私大入試レベルの問題で「もれなくダブりなく」丁寧に数え上げれば、正答にたどり着くことができる問題であった。

 

[2]から[4]は難関国立大レベルの数学の問題が毎年出題されている。
2022年の[2]は微積分で絶対値を含む関数の微分可能性・増減と回転体の体積が出題された。
[4]は複素数平面の問題であったが、(2)については複素数平面からxy平面の問題に置き換えると比較的簡単に解くことできる。
2021年には[2]「はさみうちの原理」で極限値を求める問題、[4]では無限等比級数の応用問題が出題された。
特に[2](2)では高校の範囲では出題されない積分が登場するが、不等式で評価して「はさみうちの原理」で正解に辿り着く。

 

[1][2][4]で難易度が異なる。
[1]は私大上位レベルだが、他方[2]~[4]は難関国立大レベルまで出題される。
まずは私立上位レベルの典型問題を繰り返し学習した上で、[2][4]でよく出題される分野については、上位国立大レベルの問題にも取り組んで欲しい。

 

しかも制限時間に対して問題数が多いので、無理に完答を狙わずに簡単な問題を確実に得点できるよう、時間配分を意識した過去問演習を心がけよう。

スコア 知識量 スピード 記述力 応用力
SS SS SSS SSS SSS

化学の傾向と対策

時間は理科2科目合わせて120分。
例年4題の出題で、難易度は私立医学部の中でも、質・量ともかなりハイレベルと言って良い。

 

問題は全体的に長文で、新しいテーマや未知の物質にフォーカスした問題を出題するのが特徴である。

 

2021年では [1]はオゾン層を主題とする、理論化学の総合問題であった。

 

[2] は金属イオンの系統分析で、金属イオンの回収率求めさせる問題が出題されている。

 

[3] は教科書で見ることのない炭化水素(アダマンタン)の性質に関する問題である。

 

[4]は下村脩教授が2008年にノーベル賞を受賞した蛍光タンパク質に関する問題であった。

 

長文を丁寧に読み解かなければならないものの、しっかり読み解けば解答しやすい問題も少なくない。
まず全分野の標準レベルの問題を正確に習得し確実に解けるようにしておくことが、最大の対策になるだろう。
問題を見た瞬間に解法が思い浮かぶようにしておこう。

 

非常に長い問題文に圧倒される受験生も多いと思われるが、決して「難問揃い」というわけではなく、設問の解答に必要な部分は案外少ない。
数年分の過去問の勉強を通じて、問題文から設問のヒントとなる部分を取り出し、教科書や標準レベルの知識を当てはめる訓練を積むようにしよう。
国公立の過去問の中から、問題文が長大なものを選んで解いてみても良いだろう。

スコア 知識量 スピード 記述力 応用力
SS SS SSS SS SSS

生物の傾向と対策

時間は理科2科目合わせて120分。
大問は例年4題。

 

例年実験考察問題が多く、実験内容に関する問題文を読み解くのが難しい。
条件をきちんと整理しながら読み解く高い読解力が求められる。

 

100字程度の少し長めの論述や計算問題が出題される。
選択問題も出題されるが、受験生を混乱させる紛らわしい選択肢が多い。

 

2021年は、第1問は窒素同化・炭素循環に関する知識を問う問題、第2問は大腸菌の増殖に関連して、ラクトースオペロンやヒスチジン合成能に関する問題であった。
第3問はマウスの体色(体毛の色)の遺伝に関する問題が出題され、第4問は社会性昆虫を主題として、セイヨウビツバチの血縁度に関する問題や、セミツバチのダンス(円形ダンス・8の字ダンス)に関する問題であった。

 

対策としては、まず全ての分野において教科書や図説などを活用し、 細かい内容まで熟知するように勉強する事が必要である。
例年はDNAや遺伝子、ホルモンの名称や働きを詳しく問う問題が多い。
遺伝も頻出である。
代謝については、図説を見て反応図を押さえておこう。

 

実験考察問題の対策に目が行きがちであるが、実際に問題を解いてみると、教科書レベルやその延長程度の問題である事も少なくないので、基本的な勉強を怠ってはならない。
その上で本学や国公立の過去問演習を通じて、難度の高い問題に取り組む力を養ってほしい。

スコア 知識量 スピード 記述力 応用力
SS SS SS SS SS

物理の傾向と対策

時間は理科2科目合わせて120分である。
例年、大問3題が出題される。

 

2021年については力学・電磁気・原子分野から、生物と関連した問題が出題されている。

 

[1]力学分野は尻もちによる圧迫骨折を、頭部・胸腹部・下半身がバネで連結されたモデルを用いて考察する問題で、特に後半は単振動の問題となっている。

 

[2]電磁気分野はコンデンサの問題で、動物の細胞膜をコンデンサーと見立てて落雷のメカニズムを考察する問題である。

 

[3]原子分野は、光を波としてではなく粒子(光子)として扱って人の目の仕組みを考察する問題が出題されている。

 

本学では見慣れない問題設定(2021では[1]や[3])が多く出題される。
戸惑う受験生も多いことだろう。
例えば2016年「マイクの原理と特性」「中性子波の干渉」、2017年「イオンチャンネル」、2018年「水滴が鉛直面を伝って落下する運動」、2019年の「PET(陽電子放出断層撮影)検査」、2020年の「血管内の血流や左心室がする仕事と仕事率」などである。

 

慈恵の物理に取り組むためには、典型問題を身につけた上で、他大学で出題されたやや難度の高い問題も解いておくと良いだろう。
また厳しい制限時間の下での試験となるので、完答を目指すのではなく、解ける問題から確実に得点していく必要がある。
計算量がハードな問題もあるので、日頃から解くスピードを上げる練習も必要だろう。
また過去問の勉強を通じて時間配分に慣れておくようにしよう。

スコア 知識量 スピード 記述力 応用力
SS S SS SS SS

面接の傾向と対策

個人面接1回とテーマ別面接(MMI方式)5回の計6回。
個人面接もテーマ別面接も7分間である。

 

ローテーション形式でどの部屋から始まるか事前に分からない。

 

個人面接では、受験者自身について問われ「医師の志望理由」「本学の志望理由」「調査書の内容」「医師の社会的役割について」などについて質問される。

 

5回行われるテーマ別面接の部屋では、様々な話題について面接官が質問する。
受験生の解答に対して面接官がさらに質問してくる。
過去のテーマ別面接では、以下のような内容が問われている。

 

【グラフ読解問題】
・職場におけるハラスメント被害に関するグラフから、何が読み取れるか?
・アレルギー、肺炎や近視に関する年代別グラフから、何が読み取れるか?
・熱中症患者の年代別グラフから、言えることは何か?
【選択肢並び替え問題】
・あなたが実習先の高齢者施設で入居者に虐待のアザを発見したらどうするか?
正しい順に自分のとるべき行動を並べよ。
・研究課題に取り組むグループのメンバーが、うつ病であることをあなたに告白した。
研究課題に取り組むのは難しいと言っている。どうする?
【状況設定問題】
・ステイホームでペットを飼い始める人が増えている一方で、飼育が困難になり手放す人がいる。
あなたはどう思うか?またどうすべきか?
・米国の有名大学が学生の選考過程において、人種的多様性の確保のためにアジア人を一律に原点しているのは差別にあたるか?
【絵画読解問題】
与えられた絵画から、その絵画の表す場面や解釈、出題意図を問う。

 

1回あたりの質問時間が決まっているので、質問に対して簡潔に答えられるよう練習しておくようにしよう。
テーマ別面接のテーマは多岐にわたるので、日頃から社会や身の回りの出来事に関心を持ち、自分なりの考えや意見を持つようにしよう。
また考えや意見を伝えるコニュニケーションを心がけよう。

小論文の傾向と対策

小論文は2017年度に復活した。
課題文を読み、60分以上120分以内、1,200字以上2,400字以内で論じるものである。

 

課題文は受験生の面接時間帯によって異なり、課題文は多岐にわたる。
例えば「経験と教育について」「フランスにおけるスカーフ禁止について」といった課題文が過去に出題されている。
テーマは受験者自身が設定するので、受験者にとって自由度の高い出題形式ともいえるが、課題文から問題点を見出し、適切なテーマ設定を受験者自身で行わなければならない。

 

読み手(採点官)にとって読みやすい答案作成ができるようになるための対策が必要となる。
国公立大学の過去問でも良いので、課題となる過去問をネットで探してみよう。
資料文の比較的長いものが良いだろう。
字数は1,200字程度から、だんだん増やして2,400字まで増やしてゆく。

 

医療に関する特集記事を読み、テーマを設定して論じるのも本学の試験対策として有効である。
例えば医学生向けの情報誌「DOCTOR-ASE」などがある。

 

小論文の基本であるが、全体を大きく4部構成として、構想・構成を練ること。
これは文字数の長い本学では特に必須の作業である。
そして4部をそれぞれ2から3段落程度に分け、構成を練ってから書いてゆく。
構成がいい加減なまま答案を書いてしまうと、論がブレてしまい、小論文の答案としては良くない。

 

そして、書いたものは必ず先生のチェックを受けよう。
資料の読解は十分か、テーマに対する知識は足りているか、自分の論述力・論理力に足りないものは何か、など客観的に見てもらいフィードバックを受けることが、特に小論文では欠かせない。

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倍率分析データ

2022年 2021年
一般選抜前期
募集人員 105名 110名
志願者数 1,860名 1,702名
受験者数 1,708名 1,478名
一次合格者数 496名 509名
一次合格倍率 3.4倍 2.9倍
二次受験者数 477名 487名
正規合格者数 172名 165名
正規合格倍率 9.9倍 9.0倍
補欠候補者数 199名 220名
繰上合格者数 79名 73名
総合格者数 251名 238名
合格実質倍率 6.8倍 6.2倍
入学者数 105名 110名
合格最低点 51.80% 50.50%

入試方式別詳細分析

一般選抜前期: 東京慈恵会医科大学医学部 一般選抜

科目別詳細分析

面接・小論文詳細分析