東京慈恵会医科大学医学部受験 入試情報

メリオン独自のリサーチに基づく東京慈恵会医科大学医学部入試に関する情報を科目・入試別にそれぞれご案内しています。

東京慈恵会医科大学医学部受験 入試情報

東京慈恵会医科大学の歴史と特色

英国に留学し英国の医学を学んだ高木兼寛が、帰国後の1881年5月成医会講習所を設立し、医師の養成を開始。
その後、東京慈恵医院医学学校と改称し、1921年には大学令によって日本で最初の単科医科大学として許可を受け、1952年に新制の東京慈恵会医科大学となった。

 

創設者である高木兼寛は、成医会講習所設立の翌年に、民間慈善病院、有志共立東京病院を開設し、病で苦しむ貧しい人が無料で受診できるようにした。
この考え方は「病気を診ずして病人を診よ」という東京慈恵会医科大学の建学の精神として受け継がれている。

 

医学部は、医学科と看護学科からなる。
「医師と看護師は車の両輪」という創設者の考えを基に、医師と看護師が学生時代からお互いを理解するという理念から、私立大学では珍しく、学部を分けずに医学部医学科、看護各課としている。

 

1年次は国領キャンパス、2年次以降は西新橋キャンパスで学ぶ。

 

27の運動部と15の文化部があり、9割以上の学生が部活動にも参加し、積極的な学生生活を送っている。

 

また、実習が非常に充実しており「医者は患者を選べない」という精神から、健常児、高齢者、障がい者、重度心身障害児など様々な人々の生活の側面を感じられる実習が行われる。

 

また海外選択実習も盛んで14の協定校がある。
「慈恵愛」という言葉があるほど、学生、教員が「慈恵」に誇りを持っている。 

東京慈恵会医科大学の入試対策

東京慈恵会医科大学医学部医学科は、募集人員105名の一般選抜のみを行っている。
一般選抜を、前期と後期に分けたり、共通テスト利用入試を行ったりして募集人員を分ければ、募集人員が少ない分、当然入試難易度は上がる。

 

しかし、東京慈恵会医科大学は、1回の入試しか行わず、そこで105名の入学者を選抜している。
ちなみに私立医学部最難関といわれる慶應義塾大学医学部は、入学定員110名のうち44名を附属校推薦で入学させることで、一般選抜の募集人員は66名となっている。

 

東京慈恵会医科大学医学部医学科の合格最低点は、過去3年、得点率50%程度となっている。
これは正規合格者の合格最低点である。
ざっくり言うと「慈恵は半分取れれば合格」ということになる。
逆に言うと「慈恵の問題は難しい」ということになる。

 

配点は英語、数学、理科いずれも100点(理科は2科目で200点)であり、バランスのよい得点率が求められる。
数学の試験時間は90分と長めではあるが、英語60分、理科2科目で120分と、英語と理科の試験時間は短い。

 

東京慈恵会医科大学受験者の多くは、国公立医学部を併願しているが、国公立医学部併願者は特に試験時間の短さに気を付けて欲しい。
「短い試験時間の中で半分取る」ための準備を進めることが必要になる。

 

例年、160名程度の正規合格者を出し、補欠者も200名以上に出す。
補欠者には補欠順位が付き、100名以上が繰り上げ合格となる年も多い。

 

入学者の現浪比を見ると、現役生が最も多く、入学者の多くが2浪までである。
これは、「3浪以上は取らない」ということではないと考えてよい。
「慈恵」に合格出来る学力を持った受験生は、その前年すでに他の医学部に合格出来る学力を備えていたと考えられ、その結果として3浪以上の入学生が少ないと考えられる。

 

併願校としては国公立医学部、慶應義塾大学医学部が多いと思われる。
この2つに合格した場合は、東京慈恵会医科大学の入学を辞退する受験生が多いと考えられる。
それ以外の医学部に合格した場合は、東京慈恵会医科大学への進学を選択するだろう。

難易度・レベル(メルオンスコア)

一般選抜前期 SSS 東京慈恵会医科大学医学部 一般選抜

英語の傾向と対策

時間60分、大問3題。
2021年度は、2020年度同様、長文読解問題が3題出題されている。
難易度は総じて高い。

 

過去に出題された長文のテーマは「天然痘予防法の確立」「医療現場における日光の重要性」 「学習における知識習得に有効な間違え方」など。

 

出題形式は空所補充問題、文脈に合った文を選択する内容一致問題。
記述問題については、2021年は英作文のみであった。
2020年には空所補充が出題されていたが、2021年では見られなかった。

 

英作文は、長文の内容を受けて自分の考えを理由とともに記述するものであった。
簡潔に自分の意見を述べる事が求められる。

スコア 知識量 スピード 記述力 応用力
SS SS SS SSS SSS

数学の傾向と対策

数学は大問4題で制限時間90分。
積分と確率が頻出で、2017年から2022年まで毎年出題されている。

 

2022年は[1]2021年に引き続き確率、[2]は数学の微積分、[3]は整数問題、[4]は複素数平面と広範囲から出題されている。

 

確率の問題は例年「もれなくダブりなく」丁寧に数え上げれば、正答にたどり着くことは難しくない、上位の私大入試レベルの問題であった。

 

[2]から[4]には難関国立大レベルの数学の問題が毎年出題されている。
2022年の[2]は関数の微分可能性・増減と回転体の体積が出題された。
[4]は複素数平面の問題が出題されている。

 

[1][2][4]で難易度が異なる。
[1]は私大上位レベルだが、他方[2]~[4]は難関国立大レベルまで出題される。
まずは私立上位レベルの典型問題を繰り返し学習した上で、[2][4]でよく出題される分野については、上位国立大レベルの問題にも取り組んで欲しい。

 

制限時間に対して問題数が多いので、無理に完答は狙わずに簡単な問題を確実に得点できるよう、時間配分を意識した過去問演習を心がけよう。

スコア 知識量 スピード 記述力 応用力
SS SS SSS SSS SSS

化学の傾向と対策

時間は理科2科目合わせて120分。
例年4題の出題で、かなりハイレベルである。

 

問題は全体的に長文で、新しいテーマや未知の物質にフォーカスした問題を出題するのが特徴ある。
長文を丁寧に読み解かなければならないものの、しっかり読み解けば解答しやすい問題も多い。

スコア 知識量 スピード 記述力 応用力
SS SS SSS SS SSS

生物の傾向と対策

時間は理科2科目合わせて120分。
大問は例年4題。

 

例年実験考察問題が頻出。
実験内容に関する問題文を読み解くのが難しく、高い読解力が求められる。
また長めの論述や計算問題が出題される。
選択問題も出題されるが、受験生を混乱させる紛らわしい選択肢が多い。

スコア 知識量 スピード 記述力 応用力
SS SS SS SS SS

物理の傾向と対策

時間は理科2科目合わせて120分である。
例年、大問3題が出題される。

 

2021年については力学・電磁気・原子分野から、生物と関連した問題が出題されている。
「マイクの原理と特性」「中性子波の干渉」「イオンチャンネル」「水滴が鉛直面を伝って落下する運動」といった、受験生にとって見慣れないテーマが例年出題されている。

スコア 知識量 スピード 記述力 応用力
SS S SS SS SS

面接の傾向と対策

個人面接1回とテーマ別面接(MMI方式)5回の計6回。
個人面接もテーマ別面接も7分間である。

 

個人面接では受験者自身について問われ「医師の志望理由」「本学の志望理由」「調査書の内容」「医師の社会的役割について」などについて質問される。

 

5回行われるテーマ別面接の部屋では、様々な話題について面接官が質問する。
過去のテーマ別面接では

 

【グラフ読解問題】
・職場におけるハラスメント被害に関するグラフから、何が読み取れるか?
【選択肢並び替え問題】
・あなたが実習先の高齢者施設で入居者に虐待のアザを発見したらどうするか?
正しい順に自分のとるべき行動を並べよ。
【状況設定問題】
・ステイホームでペットを飼い始める人が増えている一方で、飼育が困難になり手放す人がいる。
あなたはどう思うか?またどうすべきか?
【絵画読解問題】
与えられた絵画から、その絵画の表す場面や解釈、出題意図を問う。

 

といった内容が聞かれた。

小論文の傾向と対策

小論文は2017年度に復活した。
課題文を読み、60分以上120分以内、1,200字以上2,400字以内で論じるものである。

 

課題文は多岐にわたり、過去には「経験と教育について」「フランスにおけるスカーフ禁止について」といった課題文が出題されている。
テーマは受験者自身が設定しなければならない。

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アーカイブデータ

  • 男女比
  • 現浪比
  • 国家試験合格状況
年度 男性 男性 女性 女性
2022年 69名 65.7% 36名 34.3%
2021年 66名 60.0% 44名 40.0%
2020年 71名 64.5% 39名 35.5%
2019年 62名 56.9% 47名 43.1%
2018年 63名 57.3% 47名 42.7%
年度 現役 1浪 2浪 3浪以上
2022年 60名(57.1%) 35名(33.3%) 4名(3.8%) 6名(5.7%)
2021年 62名(56.4%) 39名(35.5%) 7名(6.4%) 2名(1.8%)
2020年 56名(50.9%) 37名(33.6%) 10名(9.1%) 7名(6.4%)
2019年 54名(49.5%) 39名(35.8%) 11名(10.1%) 5名(4.6%)
2018年 39名(35.5%) 51名(46.4%) 17名(15.5%) 3名(2.7%)
年度 全体 新卒
2022年 111名(97.4%) 106名(98.1%)
2021年 118名(95.2%) 115名(97.5%)
2020年 106名(94.6%) 104名(95.4%)
2019年 114名(97.4%) 111名(98.2%)
2018年 117名(95.9%) 112名(97.4%)

入試方式別詳細分析

一般選抜前期: 東京慈恵会医科大学医学部 一般選抜
一般選抜後期: 該当なし
推薦・学校推薦型選抜: 該当なし
AO・総合型選抜: 該当なし
共通テスト利用: 該当なし
編入・その他: 該当なし

科目別詳細分析

面接・小論文詳細分析