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医学部受験 入試情報
メリオン独自のリサーチに基づく医学部入試に関する情報を大学・科目・入試別にそれぞれご案内しています。
医学部受験 入試情報
1.そもそも、なぜ医学部なのか?
医学部医学科(以下、医学部とします)は、受験生から非常に大きな人気を集めています。
大学入試全体の中でも圧倒的な最難関学部になっています。
では、なぜ医学部は、これほどの人気を集めているのでしょうか?
それは「医学部を卒業しないと、医師になるための医師国家試験を受けられない」からです。
根底には「医師になって世の中に貢献したい」という将来像があるのですが、医師になるためには、医師国家試験に合格して医師免許を取得する必要があります。
例えば、弁護士になるための司法試験の受験資格は、法科大学院を修了することが王道ともいえますが、受験資格を得るための予備試験に合格することでも司法試験を受けられます。
最近は、時間と費用が節約できることもあり、予備試験の人気が高まっています。
しかし、医師国家試験にも予備試験はあるものの、医学部を卒業しないと受験できないと考えるのが現実的です。
医学部以外の学部を卒業した後、医学部の大学院に進むことは出来ます。
しかし大学院を修了しても、医学博士になっても医学部を卒業していないと医師国家試験は受けられませんので、医師としての活動は出来ません。
「医師になるためには医学部を卒業しなければならない」から医学部を目指すわけです。
2.医学部受験の現状
①全国の医学部
現在、医学部は全国81大学に設置されています。
この他に、大学ではありませんが、防衛医科大学校にも医学部があり、現在は全国に82の医学部があります。
国立大学医学部は43校,公立大学医学部は8校,私立大学医学部は31校、そして防衛医科大学校で合計82の医学部となります。
患者のたらい回しをきっかけに医師不足が叫ばれるようになり、2016年4月に東北医科薬科大学医学部、2017年4月に国際医療福祉大学医学部が誕生しました。
ただ、今後新しい医学部の誕生は無いだろうと考えられています。
先ほど述べた、医師不足が問題となった時期に医学部定員は臨時的に増員され、約1700名も医学部の入学定員は多くなりました。
今後増員分は削減される方向です。
これまで、臨時定員増の恩恵を受けた受験生もいましたが、その恩恵も無くなると考えてください。
②医学部の難易度
「大学入試全体の中で医学部は最難関学部」と述べましたが、偏差値ランキングで確認してみましょう。
河合塾が2023年5月に発表した偏差値ランキングによれば、国公立大学前期理系の最難関は東京大学理科Ⅲ類と京都大学医学部医学科の偏差値72.5です。
続くのが東京医科歯科大学医学部と大阪大学医学部の偏差値70.0となっています。
さらに続くのが偏差値67.5の東京大学理科Ⅰ類と理科Ⅱ類、京都大学工学部情報学科で、ここでようやく医学部以外の学部が出てきます。
ただ、東大理Ⅰなどの偏差値67.5には、東北大学医学部、横浜市立大学医学部など6校の医学部も入っています。
国公立大学医学部で最も低い偏差値ランクは旭川医科大学医学部、琉球大学医学部などの偏差値62.5です。
このランクには、京都大学工学部工業化学科などが入っています。
旧帝国大学でも偏差値60を下回る学部学科が少なくない中で、国公立大学医学部の難関ぶりが分かります。
私立大学の難易度を見ると、私立大学理系の最難関学部は、慶應義塾大学医学部と順天堂大学医学部B方式の偏差値72.5です。
次いで東京慈恵会医科大学、順天堂大学医学部A方式、日本医科大学の偏差値70.0です。
この偏差値70.0には国際基督教大学教養学部アーツサイエンス学科A方式が入っていますが、ここは学力試験としては実質英語1科目の入試ですので、4科目入試の医学部とは同列に扱うことは出来ないでしょう。
偏差値70.0に続く偏差値67.5には医学部11大学の他に、早稲田大学先進理工学部生命医科学科が入っています。
数ある早慶の学科で唯一このランクに入っています。
早稲田大学先進理工学部の他の学科や早稲田大学の他学部、慶應義塾大学の理工学部などは、さらに1つ下の偏差値65.0になっています。
私立医学部で偏差値ランクが最も低いのは川崎医科大学と岩手医科大学医学部の地域枠Cでボーダーライン偏差値60.0とされています。
岩手医科大学医学部の一般枠は偏差値62.5とされています。
国公立大学医学部も私立大学医学部も「滑り止め」といえるような大学がありません。
ここに医学部の難易度の高さが象徴されています。
医学部の志願者数は国公立も私立も減少傾向にあります。
減少の理由として国公立は「医学部は難しすぎる」という受験生の意識が大きいと思われます。
私立は「併願校の減少」が挙げられます。
私立医学部の受験料は6万円と非常に高額です。
「手が届きそうにない大学」への出願をためらう傾向が感じられます。
確かに医学部の志願者は国公立も私立も減少傾向にあります。
しかし、「志願者が減れば易しくなる」と考えるのは、拙速です。
医学部一般選抜の募集定員で100名を超えることはまずありません。
数十名の医学部がほとんどです。
単純に言うと「医学部入試は上位100位以内に入るかどうかの試験」ということになります。
「志願者が300名でも1000名でも3000名でも、重要なのは上位100位を争う人数」ということです。
特に国公立大学医学部は、共通テスト受験後に自分の得点での合格可能性を検討出来ます。
そうすると「受かりそうな大学」に出願することになりますが、医学部では受かりそうな大学が無い場合、医学部を回避する受験生も少なくありません。
志願者が減っても、本当に合否を争う受験生は減っていません。
志願者が減っても難易度は下がりません。
私立大学医学部も同様です。
「受かるだろう」「受かるかもしれない」と考える受験生は、出願をためらいません。
出願をためらうのは、本音では「受かるとは思えない」と考えている受験生です。
国公立医学部同様に、志願者が減ったとしても本当に合否を争う志願者は減りません。
志願者数自体が減ったとしても難易度は変わらないのです。
4.国公立医学部と私立医学部の違い
同じ医学部と言っても、国公立大学と私立大学では違いがあります。
まず、学費が浮かぶと思います。
確かに私立医学部の学費は高額です。
ただ、特待制度を拡充し「国公立大学より安い」とアピールする国際医療大学医学部のような大学もあります。
また、私立医学部でも地域枠で入学すると充実した学費の貸与が受けられます。
一般的には、医師免許取得後9年間指定の病院等で勤務することで返済免除になります。
入試でも国公立と私立では違いがあります。
国公立大学医学部一般選抜では、共通テストの受験は必須です。
私立医学部でも共通テスト利用入試はありますが、募集人員は少なく共通テストの受験が必要ない入試が一般的です。
試験科目にも違いがあります。
国公立医学部では英語、数学、理科の他に国語と地歴公民も試験科目に入ってきます。
試験科目が増える分、受験生の負担は大きくなります。
また、試験時間にも違いがあります。
一般的に国公立医学部の試験時間は長めで、例えば東北大学医学部の数学は150分ですが、東京医科大学の数学の試験時間は半分以下の60分です。
当然、準備も違ってきます。
国公立医学部と私立医学部併願者が上手く行かない場合が少なくないのは、共通テストを含めた国公立の準備に集中するあまり、私立対策に手が回らないことが主な原因です。
150分、2時間半の試験時間を想定した勉強を続けていると、半分以下の60分、1時間という試験時間への対応が難しくなります。
バランスのいい医学部対策を考える必要があります。
5.医学部受験には学校推薦型選抜、総合型選抜そして地域枠も
医学部受験で最も募集人員が多いのは一般選抜(一般入試)です。
ここを目指して受験勉強を進めてください。
しかし、一般選抜の前にも医学部入試はあります。
総合型選抜(AO入試)、学校推薦型選抜(推薦入試)です。医学部受験を考えるなら、ぜひ総合型選抜と学校推薦型選抜の受験も検討してみてください。
総合型選抜、学校推薦型選抜には受験資格があります。
受験資格を満たした受験生しか受けることが出来ません。
ライバルの少ない医学部入試です。
現役生にしか受験資格が与えられていないのであれば、強敵である浪人生のいない医学部入試になります。
チャンスの大きい医学部入試ですから、一度は受験を検討するとよいでしょう。
一般的に医学部の地域枠は、一般枠に比べ難易度は下がります。
出身地制限がある場合も多いのですが、出身地制限が無くても、一般枠で受かる自信のある受験生は卒業後の縛りのある地域枠は避けがちです。
こういったことから医学部の地域枠は一般枠に比べ難易度は下がる傾向にあります。
医学部受験に際しては、地域枠も考えてみてください。
ただし、地域枠には卒業後の条件が付いています。
そこは、しっかり確認してください。
英語の傾向と対策
医学部受験で最も柱となるのは間違いなく「英語」です。
数学は、計算ミスや勘違いなどもあって「常に実力を出し切れる」とはいえません。
しかし、英語は実力通りの結果を得やすい科目です。
難関医学部と言えども、英語は文法・語法力と読解力が大きな柱です。
とにかく英語を固めることが大切です。
そして英語で合格点を取るために欠かせないのが「語彙力」です。
英単語や熟語の強化なしに医学部合格はありません。
数学の傾向と対策
理系学部である医学部を目指す受験生は、数学を得意とする受験生が多くなり、強敵揃いといえます。
数学が得意だからといって難しい問題ばかりに取り組んでいると、実際の医学部入試で「誰もが解いてくる問題」を落としてしまいかねません。
こういった問題は短時間で解き切ることも必要です。
難しい問題に取り組むのもよいのですが、易しめの問題を「早く正確に解く」練習も忘れないでください。
化学の傾向と対策
医学部受験の理科で、ほぼ全ての受験生が選択するのが化学です。
物理と生物は得意な方を選びますが、化学は得意・不得意に関係なく選択することがほとんどです。
それだけに医学部受験では、理科の「肝」になる科目です。
医学部受験の化学では理論化学が中心になります。
とは言え、医学部入試の化学で合格点を取るためには、有機化学、無機化学で点数を落とすわけにはいきません。
理論、有機、無機のバランスを考えた学習が必要です。
生物の傾向と対策
医学部進学後、最も必要になるのが生物です。
医学部進学後の先取り学習をしているつもりで頑張ってください。
医学部の生物は単に「覚えればいい」というものではありませんが、教科書レベルの基本的な知識を固めることが大切です。
医学部の生物では、計算問題や実験考察問題も出題されますが、すべての基本は教科書レベルの知識です。
基本が無いと実験考察問題も解けません。
また「図説」を併用することで知識が深まります。
物理の傾向と対策
「物理は覚えることが少なくて簡単」といったことがよくいわれますが、「物理は簡単」と舐めるわけにはいきません。
覚えることは少なくても、深い理解と思考力が必要となります。
国公立にせよ私立にせよ、医学部受験で合格点を取ることは簡単ではありません。
理系学部である医学部を目指す受験生は、数学や物理を得意とする受験生が多くなります。
そういった受験生と戦うわけですから、日頃から「深い理解」を心掛けてください。
国語の傾向と対策
理系学部の医学部受験と言えども、国語が課されることは少なくありません。
「国語力を高める」ことは、簡単ではありませんし、時間も掛かります。
しかし、国語の試験での「得点力を上げる」ことは可能です。
医学部受験で国語が必要になる場面の第一は、共通テストです。
共通テストだけで国語が必要になる受験生は、共通テストに絞って学習を進めてください。
国公立2次試験、私立一般選抜も過去問を使って、得点力を上げることを考えてください
社会の傾向と対策
医学部で地歴公民(社会)が必要になるのは、共通テストだけです。
共通テスト対策を進める前に、「地歴公民で、どの科目を選択するのか」を考える必要があります。
「理系の地歴公民は地理がいい」といわれることがあります。
確かに日本史、世界史に比べ、覚えるべき量は少なくなります。
しかし、「その科目に興味が持てるか」が最重要です。
興味を持てないことを覚えることは苦痛でしかありません。
「興味が持てるかどうか」を最初に考えてください。
面接の傾向と対策
医学部の面接は、ある意味学力試験以上に重要です。
医学部の入試要項に「面接において基準を満たさない場合は、学力試験の結果によらず不合格とする」と書かれていることが多くの大学で見られます。
ざっくばらんな言い方をすれば、「いい成績の受験生でも、うちの医学部に相応しくないと思われる受験生は落とす」ということです。
医学部面接には個人面接、グループ面接、グループ討論、MMIと様々な面接がありますが、ポイントは1つです。
それは「医学部面接の面接官は、医学部の教員が行う」ということです。
総合大学であっても、他学部の教員は面接官にはなりません。
「医学部の面接だから、こうだろう」という考えは非常に危険です。
こういった考えで指導する塾や予備校もあるかもしれませんが、重要なのは「医学部教員にはどう見えるか」です。
面接では、「医師に相応しいか」が重要と考えがちですが、医学部教員の本音はそこではありません。
面接指導は想像ではなく、医学部と直接やり取りしている人の指導を受けると安心です。
小論文の傾向と対策
医学部受験の大きな特徴として「小論文が課される」ことが挙げられます。
国公立医学部では小論文を課されないこともありますが、私立医学部では、基本的に小論文は課されます。
医学部受験の小論文には、それほど時間を掛ける必要はありません。
しかし、試験科目にあるわけですから、軽視するわけにも行きません。
医学部の小論文で最も大切なことは「試験時間内に指定字数を書き上げること」です。
内容以前に指定字数を満たしていなければ「採点対象外」となると考えてください。
とにかく「書き切る」ことが何より重要です。
「知らないことが出題されても、書き切ることが出来る」これが医学部小論文対策の目標です。
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